近年難易度が高まってきているといわれる医学部受験。
世間の情勢にも関わらず、安定的に暮らしていくことのできる「医師」になれることから根強い人気を誇ります。
しかしながら、その実態は理系学部の中で最高峰といわれる難易度であり、文系受験生が目指すのは難しいと思われてきました。
しかしながら、医師という職業自体は理系の知識をさほど必要としないことはよく知られており、文系受験生でも受けられるのではないかという疑問は往々にして起こりえます。
この記事では、そんな「医学部受験は文系でも突破できるのか?」という疑問に答えるとともに、文系受験生が医学部に受かるための戦略をご紹介していきます。ぜひ最後までお読みください。
1.医学部受験は文系でも突破できるのか?
まず、最初に解決していく疑問として、医学部受験は「文系でも」突破できるのかということを検証していきます。
(1)結論:できる
最初から結論を言いますが、医学部受験は文系受験生でも突破できます。
その理由として、以下の二点を挙げさせていただきます。
- 医学部受験で求められるのはバランス
- 近年では文系脳をあえて求めている医学部も存在
それぞれ解説していきます。
(2)医学部受験で求められるのはバランス
まず、医学部受験は往々にして難易度が高いというように捉えがちですが、それは視点を変えれば違った意味にとることもできます。
医学部受験では、突出した勉強の才能ではなく、マルチになんでもこなせる能力の方が重視されます。
医学部以外の学部、例えば理学部や工学部ではそれぞれ「生物や化学」、「物理」が飛びぬけてできる生徒が求められます。
しかしながら、医学部においては、ある特定の科目がめちゃくちゃできる人よりも、全体的にできる人の方が有利であると言えます。
その理由として、医学部では入学後に各科目まんべんなく知っている方が有利に勉強できるようになるということが挙げられます。
このことについては後ほど詳しく説明しますので、ここでは単純に医学部ではマルチにすべての科目をこなせるようになる方が重要だと知っておいてください。
マルチにとは、まんべんなくという意味ですが、逆にいえば、人並みにすべての科目をこなすことができれば医学部の合格も難しいことではないということがいえます。
つまり、例え数学が苦手であったとしても、その苦手を克服し、「人並みに」できるようにするだけで、ぐっと医学部の合格率は上がるのです。
(3)近年では文系脳をあえて求めている医学部も存在
医学部受験が文系受験生でも突破できる理由のもう一つとして、近年各大学で「文系脳」の受験生が求められ始めているということが挙げられます。
①帝京大学
文系脳の受験生を求めていると思われる代表的な1校が帝京大学医学部です。
帝京大学医学部は、筆記試験において英語が必須。加えて数学、理科、国語の三科目から二科目を選択して、計三科目で受験することが可能となっています。
つまり、選択によっては数学を選ばない、もしくは理科を選ばないということも十分に可能であり、理系の科目を薄めて受験することができるようになっています。
これは、ある意味文系の受験生でも歓迎するという大学側のメッセージでもあり、実際に帝京大学医学部には文系の受験生が数多く入学していると考えられます。
②昭和大学
文系脳の受験生を求めていると思われる代表的なもう1校が昭和大学医学部です。
昭和大学医学部は、2021年度入学試験から数学か国語かを選択できるように制度変更を行いました。
したがって、2021年度入試からは、元からあった英語、理科に加えて今回選択科目になった数学、もしくは国語の三科目で受験することが可能になります。
こちらも、近年の医学部の傾向を如実に表している戦略であり、数学ができても「良き臨床医」にはなれないということを示唆する変更点でもあります。
逆に言えば、大学側としても国語ができる「柔軟な人材」を求めている傾向でもあり、文系受験生には朗報であると言えます。
2.医学部はなぜ理系であると言われるのか?
では、近年の医学部受験のトレンドが「国語」であるにも関わらず、これまでの医学部受験は「理系」であるといわれてきたのでしょうか。
実はその理由は以下の3つです。
- 将来的に就く医師という職が「論理的」である
- 統計学などの学習に役立つと言われる
- 単純に入学試験の理系科目難易度が高い
それぞれ、解説していきます。
(1)将来的に就く医師という職が「論理的な職」である
当たり前ではありますが、医学部受験は合格すれば晴れて医学部に入学でき、将来的には医師という職業として社会で働くことになります。
この医師という職業は、実はかなり論理的な思考力が問われる職です。
例えば、目の前の患者の病気を診断する時に、その患者が持つ背景の知識や、これまでの治療の経緯などを複合的に考えたうえで診断、治療を行っていかなくてはなりません。
その際に医師が持っている情報や医学論文などに基づいた知識をしっかりと論理的に分析したうえで、患者にもわかるように分かり易くかみ砕いていく必要があります。
つまり、医師が働く上で高度な論理力というものは必要不可欠であり、この論理力を鍛えてほしいがために数学などの科目が課されていると考えられます。
数学などは無論、理系の科目です。これが、医学部が理系であるといわれる要因になります。
(2)統計学などの学習に役立つと言われる
医学部に入ってから役立つ科目の一つとして、数学が挙げられます。
数学は、高校数学を少し難しくした科目である統計学において基礎的な概念を占めるものであります。数学ができる受験生であれば、入学してから勉強を有利に運ぶことができると考えられることから、医学部受験でも非常に重要視されます。
しかしながら、この統計学という科目は医学部の中でも2年間ほどしか履修しない科目です。しかも、将来的にはほとんど使わない科目であるため、本当の必要性はあまり高くないと考えることができます。
(3)単純に入学試験の理系科目難易度が高い
また、医学部が理系であると言われる大きな要因として、理系科目の難易度が単純に高いということが挙げられます。
代表的な理系科目として、数学や理科が挙げられます。これらの出題難易度は大学によりまちまちではありますが、基本的に非常に高いです。
また、偏差値から見ても早慶の理工学部に受かるだけの理系の知識がないと合格できないわけですから、確かに理系としての要素は大きいと思われます。
しかし、これだけ理系科目の難易度が高いというのは、これら理系科目では「点数差」が付きやすいことが多いと考えられます。
そのため大学が選考用に採用しているという面も少なからずあるため、最近では「文系」科目を数学に代えて出すことで、文系脳の受験生を求めているというトレンドが読み取れます。
3.文系受験生でも医学部に受かる戦略
文系受験生であっても医学部に合格するためには、どんな戦略を取っていけばよいのでしょうか?
以下4項目の戦略を提示して、それぞれ詳しく解説していきます。
(1)自分の弱点を知る
まずは、医学部受験に当たって知るべきことは、やはり自分の弱点を知るということです。
文系の受験生であれば、多くは数学が苦手であったり、理科が苦手であったりすることが多いでしょう。これら科目の苦手な分野の模試を受けるなどして、しっかりと分析していきましょう。
これにより洗い出された苦手分野に関しては、自分の勉強の中心に据えて、しっかりと克服できるように対策を練っていくことが必要です。
(2)最終的に目指すべきは「合格点」の奪取
時に、医学部受験では高い点数を取らなければならないと勘違いされる方がおられますが、それは間違いです。
医学部受験においては、他の受験生と差をつけることよりも、差をつけられないことの方が大切です。自分の苦手科目を「人並みに」できるようにしておいて、自分の得意科目をさらに得意にしておくことの方が、医学部受験で成功する確率は上がります。
最終的に目指すべきは「合格点の奪取」です。決して受験者の中でも優秀な成績を取ることが必要であるわけではありません。
しっかりと目標を見据えて、普段の勉強を頑張っていくことが重要です。
(3)小論文は理系との差の見せ所
文系受験生が、理系受験生よりも優れているといえる点は「国語的能力」が高い点でしょう。
理系の場合は数学や理科に手を取られて、小論文など大学が重要視するような科目を軽視しがちです。これにより、小論文では大きな差がつきやすく、これが文系受験生であれば文章を書くのは得意であるはず。
文系の場合は、これまで培ってきた文章力を発揮することで、医学部受験における小論文は簡単に突破することができます。
他の科目で理系受験生に差をつけられたとしても、このような文系科目で差をつけることが可能であるため、積極的に高得点を狙っていきましょう。
(4)理系科目の補強は医学部専門予備校ですべし
最終的に合否を決めるのは理系科目であることが多いです。
数学や理科など、やはり文系の受験生はつまずきがちではあります。しかし、非常に幸運なことに現代には医学部専門予備校というものが存在しており、これら予備校が医学部受験の対策を積極的に行ってくれます。
万が一、理数系の科目が苦手で医学部受験に挑むのが少しためらわれるなどの場合は、しっかりと医学部専門予備校に相談することをお勧めします。
まとめ
この記事では、医学部受験が文系受験生でも突破できるかということについて解説してきました。
例え文系受験生であっても、しっかりと戦略を立てたうえで挑むことができれば、確実に医学部合格には近づくことができます。
この記事を読まれた皆さんが、念願の医学部合格を果たされることをお祈りしております。