大学卒業後、社会人として働いていたが、いろいろな社会体験を積む中で、「医学の道に進みたい」と思った方に、大学を卒業していること、社会人としての経験があることを生かして医学部に入る一つの方法が、医学部編入試験です。
医学部を受験する方法は、一般入試、学士編入試験、一般編入試験の3つのルートがありますが、それぞれメリット・デメリットを持っています。
医学部を受験し、合格を目指すとき、その難易度や競争倍率は、だれもがすごく気になります。
実際、編入試験の競争倍率は、他のルートに比べると、非常に高いです。競争倍率のあまりの高さに、怖気づいて、編入試験へのチャレンジをあきらめる人がいますが、競争倍率の数字は、難易度を的確に表しているのでしょうか?
この記事では、医学部編入試験の実際について、詳しくご説明します。医学部編入試験の実際を見れば、「意外に、いけるかも?!」と思われるかもしれません。
1.医学部編入試験とは?
どの学部でも、編入試験というのは、ある程度、実施されています。
特に医学部では、編入試験を実施する大学が多くあります。
(1)なぜ、医学部編入試験が始まったのか?
2000年、「良医養成のために、社会人経験を積んだ人材を編入させる」との通達が、文科省から各国立大学医学部にありました。
それを受けて、さまざまな大学が、編入試験を実施するようになりした。
医学部といえば、超難関ですが、勉強だけができる超エリートだけでなく、多様な人材を求める大学側の期待に、さまざまな学問分野出身者である社会人はとてもマッチします。
(2)実施している大学は?
2000年に文科省から出された通達は、国立大学医学部に向けて出されたものだったので、医学部の編入試験は、国立大学で多く実施されています。
全国で32の医学部で、編入試験が実施されていますが、私立大学で実施されているのは、3大学に過ぎません。残りは、国立が28大学、公立が1大学になります。
2020年に、編入試験が実施される予定の大学は、下記のとおりです。
【国立】
旭川医科、北海道、弘前、秋田、筑波、群馬、千葉、東京医科歯科、新潟、富山、金沢、福井、浜松医科、名古屋、滋賀医科、大阪、神戸、鳥取、島根、岡山、山口、香川、愛媛、高知、長崎、大分、鹿児島、琉球【公立】
奈良県立医科【私立】
岩手医科、北里、東海(3)どんな人が受験するのか?
医学部編入試験を実施する大学のほとんどが、学士編入試験となります。
つまり、大学を卒業して、学士号を取得している人が対象。ただ、筑波大学と群馬大学では、大学を卒業していなくても、大学での既定の単位数を取得している人に受験資格が与えられます。
医学部編入試験では、学問分野は問われませんが、試験科目などの関係で理系出身者が多くなります。中には、歯科医、薬剤師、獣医、放射線技師などの資格を持つ方もおられます。
医学部編入試験に年齢制限はありませんが、あまり年齢が高いのは再受験同様、敬遠される傾向があります。平均年齢は、27~28歳ぐらいになります。
2.医学部編入試験が難しいと言われる理由
医学部は、他の学部、学科に比べて、とても難易度が高いと言われていますが、そのなかにあっても医学部編入試験の競争倍率は突出しています。
それはなぜでしょう?医学部編入試験の特徴を見てみましょう。
医学部編入の一番の大きな特徴は、募集人員が非常に少ないという点です。5~20名程度です。
大学によっては、10名中5名が地域枠という大学もあります。地域枠というのは、合格後、その地域の医療に貢献することを誓約するものをいいます。
二番目の特徴は、競争倍率が非常に高いことが挙げられます。年度によっても変動しますが、だいたい10~20倍、中には50倍を超えるところもあります。
さらに、各大学の試験日程が重ならない点が、特徴です。つまり、いくつもの大学を併願できます。
これらのことは、互いに関係しています。募集人員が少ないところに多くの方が併願しますから、1大学に100~200人が応募することになり、競争率がとても高くなります。
これが、医学部編入試験が、超難関といわれる理由です。
3.医学部編入試験の難易度は、競争倍率ほど高くない理由
前章では、医学部編入試験の特徴のひとつ、高い競争倍率の理由を説明しました。
実際の難易度は、競争倍率の高さほどには高くないと言われています。その理由をご説明します。
(1)複数の大学の受験が可能
一般入試で医学部を受験する場合、試験日程が重なるため多くの大学を併願することはできません。
ところが、医学部編入試験を実施する32大学の入試期間は、5~6月、7~8月、9月以降とバラバラなため、複数の大学を受験することが可能です。
多くの編入試験受験生が複数の大学を受験します。だいたい10校ぐらいで、中にはそれ以上の大学を受験する方もいます。
(2)一般入試に比べて、試験科目が少ない!
医学部一般入試では、2020年度から始まる共通テストでは、5教科7科目の受験が基本です。
二次試験でも、英、数、理科2科目+面接という大学が多いです。
一方、医学部編入試験では、英語+生命科学を基本に、大学によって、そこに物理と化学、あるいは物理、化学、数学が加わるという3パターンの受験科目になります。
生命科学とは高校の生物をベースに、大学で学ぶ分子細胞学、生化学、生理学、神経科学など人体に関連する部分を深めた科目です。
現役生や浪人生に比べて、受験勉強にブランクがある社会人にとっては、試験科目の少なさは、メリットと言えるでしょう。
(3)受験生のレベルにバラツキ!
医学部編入試験では、学士号を持つ人なら、どなたでも受験資格があります。
筑波大学、群馬大学は、大学での規定の単位を取得しているだけでも受験できます。さらに、年齢制限がないのも、社会人に受験の門戸を広げていると言えます。
また、少ない科目で受験できるため、一般入試の受験より気軽に受験できます。また、社会人として、仕事を続けている人も多いので、「合格できれば、儲けもの」的に受けられる方もいます。
以上の3点から、医学部編入試験は競争率ほど難易度が高くないと言われています。人より真剣に取り組めば、合格の可能性も大きくなるといえるでしょう。
4.医学部編入試験のおすすめポイント
医学部編入試験は、そのすごい競争率ほど、実は難易度は高くないかもしれないという説明をしました。
そのほかにも、いろいろなおすすめポイントがあります。
(1)大学によっては、文系にもチャンス!
医学部編入試験の受験科目数が少ないことは、受験勉強から遠ざかっていた社会人にとっては、うれしいポイントでした。
医学部入試といえば、理系の最たるもので、文系の者は受験そのものをあきらめなければなりませんでした。しかし、編入試験では文系でも受験しやすい科目構成になっている大学があります。
山口大学では、文系出身者の合格が相次ぎ、文系出身者の医学部志望者の間で話題を集めました。他に琉球大学、浜松医科大学も要チェックです。
(2)補欠合格、繰り上げ合格の可能性!
医学部編入試験の特徴の一つが、各大学の試験日程が重ならないということがありました。
多くの受験生が、複数の大学を併願します。
そのため、優秀な学生は、複数の医学部から合格通知を受け取ることがあります。
その人たちは合格しても、すべての大学に入学するわけではありません。つまり、医学部編入試験では、入学辞退者が一定数出ることがわかっています。
たいていの大学において、補欠合格者、繰り上げ合格者が出る可能性が大きいですから、あきらめないで、頑張りましょう!
(3)年齢制限がない!
医学部編入試験では受験できる年齢に制限はありません。
特に医学部編入試験の場合、他大学を卒業して学士号を取得後、社会人として働いている人が多く受験しますので、受験生の平均年齢は、27~28歳になります。
ただ、いくら年齢制限がないといっても30歳未満の方が大多数です。
中には40代で合格という方もおられますが、一般的に30歳を超えると、合格がだんだん難しくなるのは、医学部再受験の場合と同じと考えておく方がいいでしょう。
しかし、一般入試で現役生や浪人生と席を並べて受験するのとは、ずいぶん異なりますから、社会人としては受験しやすいと言えるでしょう。
5.編入試験対策に不安がある方には、医学部予備校がおすすめ!
医学部編入試験を受ける場合、仕事を続けながら受験する方と、仕事を辞め、退路を断って、受験に臨む方がいます。
いずれにせよ、医学部編入試験を独学で突破するのは、至難の業です。特に、生命科学については、経験のある講師から、的を射た指導を受けた方が、ポイントをつかめやすいと言えます。
予備校を選ぶ際には、医学部受験に特化した予備校を選びましょう。長年の指導で蓄積された受験のためのノウハウや情報量は、他の追随を許さないでしょう。
せっかく、新たに、医学の道を進もうと決意されたのなら、その夢が実現できるように、「できることはなんでもする」という姿勢が大切です。
まとめ
社会人が医学部を目指すときの選択肢の一つである、医学部編入試験の難易度についてまとめました。
確かに、医学部編入試験の競争倍率は非常に高いものとなっていますが、内情をつぶさにチェックしたら、競争率の高さほどの難易度ではないかもしれないということが分かっていただけたと思います。
医学部編入試験は、大学を卒業した社会人に与えられたチャンスですから、ぜひ有効に活用して医学部入学という夢を実現してください。
その夢を実現するための一つの確かな足掛かりが、医学部に特化した予備校です。一緒に頑張って、医学部合格という栄冠を勝ち取ってください。