推薦で医学部に行くにはどうする?

【徹底解説】推薦で医学部に行くにはどうする?

世間では難易度の高いと言われている医学部受験。

そんな中で、一つの方法として推薦という枠があることをご存知でしょうか?推薦枠は医学部に入りやすいのか?どんな大学で実施されているのか?今回は知られざる医学部の推薦について解説していきます。

1.医学部に推薦で行く方法5パターン

一般入試自体は、どこの医学部にも設けられています。

極論、どんな経歴を持った方でも受験して合格さえすれば、医学部入学を果たすことができます。

しかし、医学部の推薦入試は特殊な形式が多く、時には浪人の年数で区切られたり、経歴で区切られたりと厳しい選考条件のものが多いです。

そんな医学部の推薦には実は5パターン存在しており、それぞれが特徴的な選考条件を持っています。

  • 指定校推薦
  • 公募推薦
  • AO入試
  • 地域枠推薦
  • その他

以上の5つについて、それぞれ詳しく解説していきます。

また、東京都にキャンパスを置く東邦大学も千葉県に東邦大東邦高校、東京都に駒場東邦高校を持ち、それぞれから毎年数十人単位で推薦入学させています。

ここまで述べてきた通り、高校内部からの進学に関しては基本的に当たり前ですが、その大学の附属高校に進学していなければ、推薦の選択肢としては「ナシ」になります。

(1)指定校推薦

ある程度クローズドな推薦方法ではありますが、高校内からの直接進学ほど閉ざされた方法ではない指定校推薦です。

指定校推薦は、医学部を持つ大学が、ある特定の高校(たいていは進学校であることが多い)に対して数人の枠を設けて、推薦を優遇して入学を許可する方法になります。

この枠に関しては、各大学が「どこの高校から何人とる」という情報を一切公表していないことに加え、毎年流動的な人数編成があるため、確定的な推薦方法ではありません。

しかしながら、医学部推薦の一つの道として存在していることは確かです。

(2)公募推薦

世間の医学部受験生が一番関係ある推薦入試の方式が、「公募推薦」です。

この方法は、大学が正式に推薦枠として認めて募集要項に掲載し、多くの受験生が集まることが多い方式になります。

例えば、高校時の成績が○○以上、かつ筆記試験の成績が何点以上であれば、上位から数人を医学部入学可能とする。

といったように厳しい条件を課してきます。

こちらの一般に開放された推薦入試に関しては、大学側の求める人物がいなかった場合は、例え募集定員に達していなくても、少ない人数で募集を締め切る(入学できない)こともあります。すべては大学側の気まぐれによる選抜であるともいえます。

(3)AO入試

基本的には公募推薦入試と同じような受験形式になります。

公募推薦方式との違いは、高校側の推薦状があるかないか。それだけです。

AO入試は、自分を大学に推薦する、すなわち一般的に言う「自薦」というものに入ります。

自分のことをよく知ったうえで学力も高く維持し、なおかつその自分のいいところを大学にアピールできなければ合格には至れません。

(4)地域枠推薦

地域推薦枠は、公募推薦方式の中に組み込まれていることが多いです。

具体的には、将来的に特定の地域で働くことを約束することで、その大学の入学枠を1枠得られるという受験形式になります。

多くの地方大学で実施されている受験方式で、大阪府や東京都等、大都市圏で将来的に働きたい場合は少し地域の縛りがネックになる受験形式になります。

ただし、地域がある程度縛られるがゆえに、あまり人気も高くなく、一般の推薦に比べれば比較的入学しやすい受験形式かもしれません。

(5)その他

全国でもまれにみる推薦の枠として「高校内部からの直接進学」というものが考えられます。

一番有名な高校内部からの進学制度を持っているのが、「川崎医科大学」。

川崎医科大学附属高校が岡山に存在し、同じく岡山に存在する川崎医科大学にほぼ無条件で進学することができます。

他には附属高校を持っている慶應義塾大学では、慶應義塾高校や慶應義塾女子高校などから毎年数十人という限られた枠を設定して、医学部に進学できるようになっています。

2.医学部の推薦は難しいのか?

医学部の推薦は難しいのか?という質問を多くの受験生からされることがあります。

前項であげた指定校推薦や内部進学に関しては、特定の高校に所属していることがそもそもの合格条件に入ってきます。

そのため、公募推薦やAO入試などの一般に開放された推薦入試に関してだけ言うと、推薦入学は難しいです。

その理由は以下の二点です。

  • 医学部の一般入試とほぼ同じ難易度の問題が出題される
  • そもそも入学希望者が多い

それぞれ解説していきます。

(1)医学部の一般入試とほぼ同じ難易度の問題が出題される

世間一般での推薦入試と言えば、「試験の科目が少ない」であったり、「試験そのものの難易度が低い」であったりと、一般入試に比べいくらか簡単な印象があります。

しかし、医学部に関しては試験科目の減少や難易度そのものの低下などはほとんど見られず、一般入試と同じかそれ以上に難しい難易度になることが多いようです。

これは医学部に入学してから求められる学力が、一般入試であろうが推薦入試であろうが変わらないということが原因であると考えられます。

医学部の推薦入試を受験するにあたっても、一般入試と同じだけの勉強(学力)が必要となるため、難易度的には「難しい」と言えます。

(2)そもそも入学希望者が多い

医学部を一度でも志望したことがあれば分かりますが、医学部を志望する方は非常に多いです。

そのため、医学部入試に挑もうとする人数も相当に多いわけですが、それは一般入試でも推薦入試でも同じこと。中には、医学部に入るためなら、どんな手を使ってでも入学しようとする人もいます。

当然、医学部の地域枠が非常に人気なことも有名で、一般枠以上に合格倍率の高い推薦入試があることも知られています。

例えば、近畿大学医学部では一般枠の倍率が30倍程度だった時に、推薦枠の倍率が120倍と、信じられないほどの高倍率だったことがあります。

ちなみにですが、近畿大学医学部の推薦入試は他大学の推薦入試と異なり、二浪までの受験が可能で、門戸が広いことが一つの原因であるとみられています。それにしても高い倍率ですよね。

ここまで述べてきたように、医学部の推薦入試は受験者が多いため、結局は一般枠の難易度とさほど変わらないという現状があります。

3.医学部の推薦で求められる能力とは?

それでは、一般入試とは違い医学部の推薦入試で求められる能力に、何か特殊なものがあるのでしょうか?

医学部の推薦で求められる能力を以下に3つあげてみました。

  • 高い学力
  • 高いコミュニケーション能力
  • 高校までの実績

それぞれ詳しく解説していきます。

(1)高い学力

当たり前ですが、医学部入試を受験するにあたって「高い学力」が必要のない医学部がこのご時世存在しません。

昔は「金さえ積めば…」と、まことしやかにささやかれていた医学部もあったようですが、そんな医学部はこの時代には存在しません。

最低で要求される偏差値が早慶の理工学部と同じくらいと言われているため、相当に高い学力が必要なのは、推薦入試も一般入試も変わりません。

他の人よりも秀でた何かを期待されている推薦入試なら、むしろ一般入試の人以上に高い学力が求められたとしても疑問ではありません。

(2)入学してから伸びるであろう能力

ここが一般入試とは大きく異なる点であると思いますが、推薦入試は一般入試に比べ「人物像」重視であることが多いです。

つまりは、どれだけ推薦入学するのにふさわしい人間かということを大学側に見極められるということです。

人物像を重視するのは、推薦で入ってくる人間をよりふるいにかけるため。推薦であまりにもひどい人間が入ってくると、大学側の選抜能力が疑われてしまうからです。

また、推薦で入ってくる人間には、一般入試で入ってくる人間とは別の期待を抱かれているということも理由に挙げられます。

例えば、「より大学側の教育理念に合致する」生徒であったり、「より自分の大学だけを目指してくれる」受験生であったり。

大学側としても入学してから「伸びそうな」能力がある人の選抜ができることを期待しているわけです。

(3)高校までの実績

また、一般入試ではほとんど高校までの実績が加味されないのに対し、推薦入試では高校までに何をしてきたのか?ということが重要視されます。

大学側にとっては、高校で勉強していない=大学でも勉強しない=大学で留年する可能性が高い。ということで、入学させるだけリスクになります。

推薦入試では、そういった「努力できなかった」リスクを持つ生徒をはじく傾向にあります。

入学してから「推薦の生徒は全然努力しない」と言われるようになれば、それこそ学校としても面子がつぶれてしまいます。

したがって、高校までどのようなことをしてきたのかが重要視されるわけです。

例えば、「部活をどれだけ続けていたか?」のように継続性があるかどうかを見られたり、「定期試験の成績はどうか?」など、普段の成績がどうなのかを調べられたりします。

つまるところ、大学でその生徒が「入学してからどれだけ頑張ってくれるのか」というその可能性を見出そうとするわけです。

4.推薦を実施している医学部はどこか?

2020年度現在、一般に開放された推薦入試を実施している大学は以下の大学になります。

(※2019年度実績)

(1)国立大学

  • 旭川医科大学
  • 秋田大学
  • 山形大学
  • 筑波大学
  • 群馬大学
  • 東京大学
  • 東京医科歯科大学
  • 金沢大学
  • 福井大学
  • 信州大学
  • 岐阜大学
  • 浜松医科大学
  • 名古屋大学
  • 滋賀医科大学
  • 三重大学
  • 大阪大学
  • 鳥取大学
  • 島根大学
  • 岡山大学
  • 山口大学
  • 広島大学
  • 徳島大学
  • 香川大学
  • 愛媛大学
  • 高知大学
  • 佐賀大学
  • 長崎大学
  • 熊本大学
  • 宮崎大学
  • 鹿児島大学
  • 琉球大学

(2)公立大学

  • 札幌医科大学
  • 福島県立医科大学
  • 横浜市立大学
  • 名古屋市立大学
  • 京都府立医科大学
  • 和歌山県立医科大学

(3)私立大学

  • 岩手医科大学
  • 獨協医科大学
  • 埼玉医科大学
  • 昭和大学
  • 帝京大学
  • 東京医科大学
  • 東京女子医科大学
  • 聖マリアンナ医科大学
  • 金沢医科大学
  • 愛知医科大学
  • 藤田医科大学
  • 関西医科大学
  • 近畿大学
  • 兵庫医科大学
  • 久留米大学
  • 産業医科大学
  • 福岡大学

詳細については各大学のホームページをご確認ください。

まとめ

ここまで、医学部の推薦入試について解説してきました。

一般入試に比べて、特殊な形式が採用されている推薦入試ですが、志望校の推薦入試制度を確認したうえでしっかりと対策すれば、医学部進学への選択肢が増えるいい受験機会になります。

しっかりとこの記事を読んだうえで、それぞれの志望校について研究していくことをお勧めいたします。

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