医学部予備校 受験料

医学部の受験料はなぜこんなに高い?国立・私立・出願タイプ別に解説

医学部受験生がたいていの場合避けて通ることのできない、受験料の支払い。

 

すでに受験経験のある方ならご存知かもしれませんが、実は他学部の受験料位比べて医学部の受験料は異常に高い場合が多いです。

 

実は、これ結構深い理由があるのですが、実際のところ、「なぜこんなにも医学部の受験料が高いのか」ということをご存知の方は少ないかもしれません。

 

そこで、今回は医学部の受験料がなぜこんなにも高くなっているのか?を実例と見解を交えながら、医学部合格まで見据えながら、分かりやすく解説していきます。

一般的な医学部の受験料

2019年現在の段階で、一般的な医学部(私立)の受験料は「6万円前後」となっており、一般的な私立大学他学部の平均である「3万5千円」と比較しても、かなりの値段の差があることが分かります。

 

また、医学部(国公立)の受験料は平均「1万7千円」となっており、センター試験(全国共通試験)の三科目以上の受験料が1万8千円であることを考えると、国公立に関しては妥当な金額であると言えるでしょう。

医学部 受験料(私立):平均60000円
医学部 受験料(国公立):平均17000円
センター試験(全国共通試験):18000円

もちろん、ここで紹介した私立、国公立のほかにも出願形式や受験形式によっても、医学部の受験料は変わってくることが想定されます。では次項以降、なぜこのような金額の差が生じてくるのかについて解説していきます。

 

参考資料
河合塾医進塾
http://ishin.kawai-juku.ac.jp/exam/fee.php

 

ベネッセ保護者サポート・高校講座
https://blog.benesse.ne.jp/zemihogo/kou/j1811011.html

なぜ医学部の受験料は高いのか?

では、詳細な金額の解説に入る前に、なぜ医学部の受験料が普通学部の受験料と比べて高くなっているのか、ということについて考察していきましょう。

 

通常、大学受験における受験料は、その大学の運営費用として使われるため、大学受験の受験料というのは直接大学の「売り上げ」に直結するということになります。

 

つまり、簡単に言ってしまえば、受験の受験料を高くすれば高くするほど大学側の利益は高くなるわけです。

 

そんな中で、医学部以外の学部が比較的低い金額で受験料を抑えられているのは、大学の運営費用が医学部ほどかからないためなんです。

 

どういうことかというと、医学部は他学部と比べ非常に特殊な運営環境にあります。
例えば、各大学に所有が義務付けられている「大学病院」ですが、これを運営するには想像以上に高額なお金がかかってきます。

 

主に高給取りと言われる医師への給料に加え、多額のお金をかけて購入、運営している医療機器の維持費に対してかなり多くのお金がかかります。

 

対して、他学部の運営に必要なのは教授に対する人件費と、研究室の運営費用など、医学部に比べれば安価に抑えることができるものになります。
したがって、医学部の受験費用が高いのは、医学部の運営費用が高額であるということが言えそうです。

国公立と私立での医学部受験料の違い

まずは、国公立と私立での医学部受験料の違いについて解説します。
まず、以下をご覧ください。

医学部 受験料(私立):平均60000円
医学部 受験料(国公立):平均17000円

私立と国公立で、4万3千円もの金額の違いがあることがわかります。

 

ここに、国公立の場合はセンター試験(全国共通試験)の受験料がかかってきますから、合計で3万5千円の費用が掛かるということが分かりますが、それでも私立医学部の6万円と比べるとかなり割安であるということが分かります。

 

実は、これはひとえに「受験実施母体」の違いであるということができます。

 

国や自治体が設立して運営している大学には、大学の運営に国民や住民の税金が投与されますが、大学の入学者を確保するために非常に大切な「受験」というイベントにももちろんそのお金は投じられます。

 

したがって、国公立大学においては、従来ならば受験の実施に6万円程度かかるところを、税金の投与により、数万円安く抑えているということが考えられます。

 

参考資料
河合塾医進塾
http://ishin.kawai-juku.ac.jp/exam/fee.php

私立医学部の間での受験料の違い

(1)特殊な事例

 

時には、私立医学部間で受験料が少々異なる場合があります。
そのよい例が、「自治医科大学」です。
下の金額を見てください。

一般的な私立医学部:60000円
自治医科大学:20000円

何と、自治医科大学と通常の私立医学部とでは、受験料に4万円もの差があることが分かると思います。
なぜ、自治医科大学はこんなにも安く受験料を抑えることができるのか?
それは、自治医科大学の設立母体が「各都道府県の自治体」であるからといえます。

 

ここで「自治体が運営している大学は国公立に含まれるのでは?」と疑問に思われた方がいるかもしれませんが、実は、各自治体に設置される国公立大学とは、厳密に言えば「文部科学省の指揮の下で」設立された大学のことを指します。

 

例えば、旧帝国大学や各自治体の名前を冠した国立大学、「横浜市立大学」や「大阪市立大学」などがそれにあたりますが、対して、自治医科大学の設立を指揮したのは、「総務省」であり、文部科学省ではありません。

 

したがって、私立大学の扱いとなっていますが、実のところは各自治体が「地方医療」を維持するために出資した事実上の公立大学となっています(扱いとしては私立大学)。
ですから、受験料も各自治体からの補助金(税金)が投入されるため一般的な私立大学と比較してかなり安い受験料となっているわけです。

(2)他大学よりも多い受験者を呼び込むための事例

 

例えば、東海大学、近畿大学の受験料は2019年現在で5万7千円と、他の私立大学と比較して3千円ほど安くなっていることが分かると思います。

一般的な私立医学部:60000円
東海大学 受験料:57000円
近畿大学 受験料:57000円

これは、熾烈な受験生集めに躍起になる医学部の中で、受験料を他の大学と比べて安くすることで、受験生をより多く集めようとする試みであると考えられます。

 

実は、現在の医学部受験は、多くの大学で受験日程がかなり過密になっており、例えば同じ日に2大学、3大学の受験が被ってくるということが多くあり、その中で、できるだけ多くの受験生を確保するために、これら大学が打ち出した戦略が、「受験料の値下げ」であるというわけです。

 

例えば、難易度の変わらないA大学と、これら大学が同じ日程で受験を行っていた場合、受験料が安い方に、優秀な受験生が集まりやすいでため、ここで受験料を少しでも安くすることで、多くの受験生の確保に挑んでいるということになります。

 

参考資料
河合塾医進塾
http://ishin.kawai-juku.ac.jp/exam/fee.php

医学部・出願タイプでの受験料の違い

次に、出願タイプでの受験料の違いについて解説します。
通常、医学部の受験料は「一般」受験の料金で表されることが多いです。
ここでいう「一般」受験とは、いわゆる通常の受験形式で、最も多くの受験生が挑戦する枠になります。

(1)大阪医科大学の事例

 

ただし、医学部受験には多くの出願枠があり、各大学でその枠の呼称は様々ですが、例えば大阪医科大学の事例を以下に紹介します。

大阪医科大学 一般受験料:60000円
大阪医科大学 センター利用受験料:32000円
(センター試験受験料:18000円)

つまり、大阪医科大学で受験をする場合、一般枠で受験をすると6万円の受験料がかかりますが、センター利用で受験すると3万2千円+センター受験料1万8千円で、合計5万円で受験することが可能になっているということになります。

 

つまり、一般受験で合格した場合よりも、センター利用で合格した場合の方が、1万円安く受験料を抑えられるということが分かると思います。

 

ではなぜ、一般で受験した場合よりもセンター利用での受験の方が安く抑えらるのか?
それは、一般受験の場合、試験監督などに多くの人件費を支払う必要がありますが、センター利用の場合はセンター試験という、別の試験を受けることで合否を判定するため、その分の人件費が安く抑えられている、ということになります。

 

ただし、受験料が安い代わりに、必要とされるセンター試験の得点率は91%以上と、非常に高いレベルの点数を求められるため、出願する場合は注意が必要です。

 

このように、通常、出願形式や受験形式が異なる場合、受験料も大きく異なる場合があるので、常に志望校の受験料を調べるような姿勢が大切になってきます。

(2)近畿大学の事例

 

ただし、出願形式が異なっても、まったく金額が変わらない場合もあります。
そのいい例が近畿大学です。

近畿大学 一般受験:57000円
近畿大学 推薦受験:57000円

近畿大学の一般受験料は5万7千円ですが、推薦受験も同様に5万7千円の受験料となっていますが、これは、近畿大学の推薦受験というものの出願ハードルが低く、特に特殊な条件を満たさなくとも出願できるため、ということが挙げられます。

 

つまり、ほとんど一般受験と問題難易度も、入学難易度も変わらないため、推薦という形式であっても受験料が変わらない、ということが考えらえれます。

 

参考資料
河合塾医進塾
http://ishin.kawai-juku.ac.jp/exam/fee.php

都心以外にある医学部の受験料+α

ここまで、医学部の受験料をご紹介してきましたが、実際のところ、医学部の受験料にはその大学の立地によっては大幅なプラスαが必要となってくる場合があります。

(1)交通インフラがあまり発達していない地域の場合のプラスα

 

例を挙げると、一日に数本しか電車、バスが通っていない地域の場合が挙げられます。
ほとんどの場合、臨時で増便されていることがほとんどなのですが、稀に一日に4本などのダイヤがそのまま継続されている場合があります。

 

そういう場合は、自分でタクシーなどを拾ったりする必要がありますし、遅刻しないように大学近くの宿泊施設を予約したりする必要があります。
このとき、かかるお金は受験料に加え、宿泊施設代やタクシー代などとしてプラスで数万円かかってくることが考えられます。

受験料+交通費(数千円程度)+宿泊費(1万円~程度)

のような形で最終的には受験料に加えて、お金がかかってくる形になります。

(2)志望校が遠くの地域にある場合のプラスα

 

志望校が、自分が住んでいる近所の大学であれば問題はありませんが、都会の人間が地方の大学を受験する場合、新幹線や航空機、夜行バスなどの交通手段に多額のお金がかかる場合があります。

 

これは、多くの場合地方をまたいでの受験になる場合が多いですが、例えば関西地方から関東地方の大学を受験しに行く場合に掛かるお金が挙げられます。

関西地方 → 航空機/新幹線/夜行バス → 関東地方

という移動が必要であれば、交通費だけで数万円程度、また現地での宿泊費用に関しても数万円程度を見る必要があります。

 

したがって、

受験料+交通費(数万円程度)+現地での滞在費用(数万円程度)

が最終的にかかってくることが考えらえれます。

 

これが一日だけの滞在などになればよいですが、数日間の間受験のために滞在するとなれば、滞在費が数倍にまで膨れ上がってきますので注意が必要です。

結局どれだけのお金が受験料として必要なのか?

ここまで、医学部の受験料について具体的な金額も踏まえてご説明してきました。
では、結局どれだけのお金が受験料として掛かってくるのか?

 

平均的な医学部受験にかかる受験料を用いて具体的に算出してみましょう。
私立医学部受験に関して、たいていの受験生は10校程度を受験します。
ですからかかってくる医学部の受験料は

10×60000円=600000円

となります。もちろん、これは受験したい志望校を絞ればかなり減額が可能ですので、各自で検討されることをお勧めいたします。

 

対して、国公立に関しては基本的に一校、後期を視野に入れても二校しか受験できませんので

2×17000円=34000円

が基本の受験料になってくるでしょう。
国公立、私立共にここに交通費や宿泊費が加算されてきますから、最終的には、10万~80万程度が、医学部の受験料として掛かってくることが分かります。

 

参考資料
医学部・歯学部合格請負人のブログ
http://igakubu-tajiri.com/a/2011-12-24/医学部受験校の選び方(1)/

まとめ

さて、ここまで医学部の受験料に関して解説してきましたが、最も大切なのは各自で志望校に関する受験情報を常に収集し続けることです。

 

例えば、学校の先生に聞くでもいいし、予備校の先生に聞くでもいいですが、最も確実なのは各大学のホームページに行き、最新の情報を確認することです。

 

多くの受験生が受験する医学部受験に関しては、いかに新たな情報を手に入れるかという情報戦になってきますから、ぜひともインターネットツールを活用した最新の情報収集をお勧めいたします。

 

加えて、各大学の願書を取り寄せたうえで、実際に受験料にかかる金額を計算し、最終的な決定まで漕ぎつけることができればベストでしょう。

 

それでは、この記事をお読みいただいた皆様が、かねてよりの希望を果たされ、念願の医学部に入学されるようになることをお祈りしております。

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