大学受験の中でも、医学部受験が別格だと言われる理由は、その勉強量の多さとこなさなければならない内容の密度にあると言われます。
高い学力をつけるには確実に時間をかけて効率の良い勉強をしなければなりません。実際のところ、医学部に合格するにはどれぐらいの時間が必要になってくるのでしょうか?
この記事では、実際の医学部合格者の勉強時間を現役、浪人別でご紹介します。その上で、どれぐらい勉強すれば医学部に合格することができるのか示していきます。
1.医学部受験にかける一般的な時間
(1)現役生が医学部受験に挑む場合
医学部を目指す現役生の平均的な勉強時間は、4~6時間になります。
現役生が医学部受験に挑む場合、学校生活を送る時間を勉強時間として数えるか否かが問題になります。しかし、「授業を受ける」など受動的な勉強は実質勉強時間としては数えない方がいいでしょう。
その理由としては、授業を受けるだけで満足してしまい、知識が定着しないという例からも分かる通り、知識は復習によってのみ身につきます。また、その復習という学習形態は能動的に勉強しているときしか成立しないため、ここでは「高校に通っている時間」を勉強時間からは除外します。
高校生は平均的に高校に通っている時間(部活含む)が約10時間、さらに通学などにかかる時間が約2時間程度ですから、24時間中12時間は高校で費やすことになります。
また、睡眠時間は6時間程度ですから、これらを差し引くと約6時間程度が残ることになります。
24時間-12時間(高校にいる時間)-6時間(睡眠時間)=6時間
つまり、この6時間が勉強に充てられる時間になりますが、多くの医学部受験生がこの時間をめいっぱい使う傾向にあるようです。
(2)浪人生が医学部受験に挑む場合
医学部を目指す浪人生の平均的な勉強時間は、10~12時間になります。
浪人生が医学部受験に挑む場合は予備校などの外部教育機関に所属して勉強を進めていく場合が多いです。
この場合、たいてい予備校で過ごす時間というものは医学部受験に直結した勉強をする時間得あると考えることができます。部活動や学校行事などの時間がある現役生に比べると長時間の勉強時間を確保できると言えます。
一日24時間から睡眠時間6時間分を引き、通学などに掛かる時間2時間分も引けば、残りは16時間です。
実際には、この時間から食事の時間や休憩時間を引かなければいけませんから、それら時間である約4時間程度を引くと、12時間になります。
24時間-6時間(睡眠時間)-2時間(通学時間)-4時間(休憩、食事時間)=12時間
つまり、この12時間が勉強に充てられる計算になりますが、多くの医学部受験生がこの時間をめいっぱい使う傾向にあるようです。
2.医学部受験ではなぜ長い時間勉強しなければならないか?〈理由3つ〉
では、いったい何故医学部受験では長時間の勉強が必要であると言われるのでしょうか?
その理由は三つです。
- 求められる教科ごとの完成度が高い
- 他の受験生よりも多くの知識をつける必要がある
- 通常よりも多くの回数の復習をこなす必要がある
それぞれ大切な理由ですので解説していきます。
(1)求められる教科ごとの完成度が非常に高い
まずは、医学部受験においては各教科の求められる完成度が異常に高いということ。
どんな大学受験であってもそうですが、高い点数を取れば上位校に入学できるわけです。しかし、医学部だけは別格で受験生のレベルがとにかく高いことから、一教科だけ高い点数をとったとしても医学部に合格できるとは限りません。
つまり、全教科でまんべんなく良い点数をたたき出す必要があり、そのためには「苦手科目」をなくすのは当然のこと。さらに得意教科までも磨いて、もう一段高いレベルを目指さなければいけません。
これを達成するには、全教科で高い完成度が求められるため、必然的に長い時間の勉強時間をこなさなければならなくなります。
(2)他の受験生よりも多くの知識をつける必要がある
前項で説明した通り、医学部受験では各科目で高い完成度が要求されるわけで、こちらも必然的に通常よりも多くの知識をつける必要があります。
そのためには、通常大学受験では必要ないと言われる枝葉の知識を勉強する必要があるため、これまた時間がかかることは必然であると言えます。
(3)通常よりも多くの回数の復習をこなす必要がある
医学部受験において、通常よりも各科目高い完成度、そして豊富な知識量が求められることはお分かりいただけたかと思います。
それを達成するためには、勉強の真髄ともいえる復習をたくさんこなさなければなりません。
例えば、生物を例にとると、一つの知識がストーリーのように沢山の知識につながってきます。それぞれを別個で覚えていくと、それこそ膨大な時間が必要になるため現実的ではありません。
それよりもストーリー性を重視しながら、各知識のブラッシュアップ(つまり復習)を長い時間行っていった方が、勉強効率がいいことになります。
したがって、医学部受験では長い時間の「復習」が求められるため、普通の大学受験よりも長い時間勉強することになります。
3.どうすれば長い時間勉強することができるのか?
ここまで、医学部受験生が長い時間勉強する必要を解説してきました。
では、どうやったら長い時間の勉強を継続していくことができるのでしょうか?
ここで、長い時間勉強するための4つの提案を皆さんにさせていただきます。
- 無駄な時間を削る
- しっかりと休憩を取る
- スケジュールを立てる
- 外からの力で時間管理をする
それぞれ解説していきます。
(1)無駄な時間を削る
長時間の勉強には、やはり時間の捻出が大切になってきます。
例えばですが、無駄にだらだらする時間や必要のない遊びの時間などを極力減らすことは、最も手っ取り早い時間の作りだし方なのでおすすめです。
また、無駄な時間がないと思っているにも関わらず、あまり勉強の時間を捻出できていない場合は、一度自分の一日の行動を紙に書きだして、視覚化してみるのも手でしょう。
ノートに何時から何時まで、どんなことをしていたか、事細かに書き出してみることで、意外にも無駄な時間が多いことに気づかされることがあります。
そういった自己分析から、時間を捻出するというのも一つの手でしょう。
(2)しっかりと休憩を取る
勉強しなければならないのに、なぜ休憩を取るのか疑問に思った方もおられるかもしれません。
確かに、だらだらとメリハリのない休憩は勉強時間を圧迫してしまうため、削る必要がありますが、本当に必要な休憩の場合、逆に勉強効率を上げることができる場合があります。
例えば、人間の一回で集中して取り組める時間は1時間程度です。1時間に1回しっかりとした10分程度の休憩を取り、やる気を高めることで勉強効率が上がります。
その結果、短い時間でも長い時間勉強することと同じだけの効率で勉強できることがあります。各人自分に合った方法で、休憩を「正しくとる」ことをおすすめします。
(3)スケジュールを立てる
時間を捻出するという意味では、自分の時間をしっかりと管理していくことも重要です。
もちろん、細かいスケジュールを決めてしまうと、逆にできなかった時の喪失感が大きいですから、おおざっぱにでも構いません。
〇時~英作文、〇時~数学問題集。
等のように具体的にやるべきことを決めると、なおのこと効果的でしょう。
(4)外からの力で時間管理をする
最後に、自分だけの力で勉強時間の管理ができない場合、やはり外部の力を頼るということも念頭においておいた方がいいでしょう。
以下、三パターンでの「時間管理」をお教えしていきます。
①友人との競争をする
最も手っ取り早いのがこの方法ではないでしょうか?
一番いいのは、同じく医学部を志望する同級生や友人ですが、周りにそういう人がいなければ大学受験に挑む友人、知人でも大丈夫でしょう。
その際、自分のスケジュールをあらかじめ相手に知らせておいて、その日どれぐらい勉強するのか宣言します。
そしてその日一日が終われば、自分の成果を互いに教えあうなどすればライバル意識も働きやすく上手に時間を管理できる場合が多いです。
②学校の先生に管理してもらう
一番の王道ではありますが、最も勉強に理解を示してくれるという意味で高校などの教員に勉強時間を管理してもらうなどのやり方もあります。
この場合は、一方的にでもいいので自分の勉強計画を先生に知ってもらうことによって、先生側から気にかけてもらうというのが方向性としては一番とっつきやすいでしょう。
普段から、第三者である教師に自分の勉強の成果を見せるなどを意識していれば、自然と勉強時間を確保できることにもつながりますし、時間管理も教師に手伝ってもらえればスムーズですから、一石二鳥です。
③医学部専門の予備校に相談する
万が一、周囲に頼れる人がいない、信じられる先生がいないなどであれば、医学部受験の専門予備校を頼ることをおすすめします。
医学部専門予備校に関しては、その名の通り医学部受験に長けた予備校です。医学部受験に必要な勉強法や勉強時間の捻出法など、細かなテクニックまで全て聞くことができます。
さらに、これまで数多くの医学部受験生を見てきているはずですから、豊富なデータ量と統計などを使って受験生の勉強時間確保などの相談にかなり親身になって乗ってくれるはずです。
現在では相談無料などの予備校もありますから、ぜひ一度相談してみることをお勧めします。
まとめ
今回は、医学部受験でどれぐらい勉強時間が必要かということについてお話してきました。
いかに大変な医学部受験といえども、しっかりと勉強時間を確保したうえで正しい勉強法で勉強すれば、しっかりと実力もつき、志望校への道のりも見えてくるはずです。
この記事を読まれた皆さんが、しっかりと医学部に合格されることをお祈りしております。