医学部入試に挑戦する場合には、学科試験だけではなく面接試験に対する対策もきちんと立てて準備しておくことが大切です。
しかし、面接試験は学科試験と異なり「何点が合格ライン」といったはっきりした合格ラインが分かるものではありません。
また、面接試験に置かれるウエイトも医学部ごとに異なります。では、どのようにして面接試験の対策を行えばよいのでしょうか?
ここでは、国立・私立を問わず医学部入試で行われる面接試験について解説していきます。
1.医学部入試に面接がある理由
昔の医学部入試では、面接がなく学力さえ高ければ合格することができる医学部も少なくありませんでした。
しかし、現在の医学部の入試では必ずと言っていいほど面接試験が課されます。
その理由は、その受験生が医師として働いていくのに問題がない人物であるかどうかといった点を見極めるためです。
医学部の入試では、昔のように学力至上主義ではなく、人としてのコミュニケーション能力も問われるようになりました。
このように面接試験が医学部入試に導入される以前は、学力試験のみで合否を決めていた医学部もあるため、周囲の同僚や患者とうまくコミュニケーションをとることができない医師も少なからずいました。
実際に臨床の現場で働く場合には、チームワークが非常に重要になり、また患者とのコミュニケーションを円滑に行う必要も出てきます。
このような能力が受験生に備わっているかどうかを見極めるために、面接試験が行われるのです。
面接試験では、日ごろ人とどのように付き合っているか、受験勉強以外にどのような事をしているか、そして保護者が今までどのような教育を施してきたかといった点が総合的に問われます。
医師としての資質は、学力以外の点も非常に重要になってきています。
2.面接に臨むにあたって必要な事
医学部の面接試験に臨むにあたっては、気を付けなければいけないことがあります。
一般の就職試験で行われる面接と同じようなポイントですが、ここで解説を行っていきます。
(1)礼儀正しく謙虚な姿勢で臨む
一番大切なことは、面接試験を受ける医学部の面接官に対して礼儀正しく謙虚な姿勢で接することです。
質問された内容について、どんなに正しい回答を行っても、態度が悪い場合にはこの面接試験で落とされてしまうことも考えられます。
また、面接試験では圧迫面接のような質問をされることもあるということを頭に入れておきましょう。
そのような場合に挙動不審になったり、泣いてしまって質問に答えることができなかったりする場合にも、不合格になってしまう可能性があります。
どのような質問をされても、真摯な姿勢で精いっぱい自分をアピールするようにしましょう。
(2)最低限の面接のマナーを知っておく
面接には、入室の仕方などマナーがあります。
そのような面接のマナーを、身につけておきましょう。
以下に入室時からの面接のマナーを解説していきます。
①入室時
ドアをノックし、室内から「どうぞ」などの応答があってから入室しましょう。
②挨拶を行う
入室したら、まず面接官に向かって「失礼します」とあいさつします。
お辞儀の角度は30度から45度程度にしましょう。
この時に、受験番号と氏名を名乗りましょう。その後、座席の横まで進みます。
座席の横に進んでも、すぐに座ってはいけません。「おかけください」などの言葉で着席を促されてから、席に座るようにしましょう。
この時も「失礼します」の一言を忘れてはいけません。
③質疑応答
ここからが、面接の本番となる質疑応答です。
敬語をきちんと使い正しく丁寧な話し方を心がけましょう。
④退室時
「ありがとうございました」面接官にきちんとお礼のあいさつをし、一礼してドアに向かいます。
ドアの前で再度一礼し、「失礼します」とあいさつをしてから退室します。
(3)服装に気を付ける
医学部入試の面接試験に臨む場合、適切な服装というものがあります。
ここではその適切な服装について解説していきます。
①髪型
まず、髪の色は黒色であることが大前提です。
浪人生や、現役生であっても自由な校風の高校に通っている受験生は、髪を染めていることもあると思いますが、面接試験の前には必ず黒色に染め直すようにしましょう。
また、髪型も非常に重要です。男性の場合は短く清潔感のある髪型に、女性で長い髪の場合は後ろで一つにまとめるようにしましょう。
髪型で一番重要なのは「清潔感」が感じられるかどうかという点です。
医学部受験の前は多忙を極めると思いますが、美容室などで髪型や髪色を整えておくようにしましょう。
②服装
現役生の場合は、学校の制服で面接に臨むようにしましょう。
ただし、高校に制服がない学校も増えているので、そのような場合はスーツを着用するようにしましょう。
浪人生や再受験生の場合は、スーツの着用が原則です。このスーツですが、色は無地の紺や黒、ワイシャツは白にしましょう。
制服とスーツ両方に言えることですが、ボタンが取れていないか、よれよれのものではないか、ワイシャツの襟や袖口が黄ばんでいないかといった点に注意しましょう。
③ひげはNG
浪人生や再受験生の中には、受験勉強の期間中にひげを蓄えている人もいるかも知れません。
ひげは清潔感が感じられないため、面接官に悪い印象を与えてしまいがちです。面接に臨む前にしっかりと剃っておきましょう。
②化粧
女性の受験生は皆気を付けるべき事なのですが、化粧は無理にする必要はありません。
慣れない化粧をしてしまうと、面接官に悪い印象を与えてしまいかねないからです。
化粧をする場合にも、濃くならないよう注意し、健康的に見えるナチュラルメイクを心がけるようにしましょう。
3.面接でよく聞かれる質問
面接では、どのような事を聞かれるかが一番気がかりだと思います。
ここでは、必ずと言っていいほど聞かれる質問内容について解説していきます。
(1)医師を志す理由
医師を志す理由は、必ず聞かれると思って準備しておきましょう。
それに対する答えは、人により違うと思います。そのため、自分が医師を志す理由を一度文章にしてみることをお勧めします。
漠然とした志望理由を答えては、面接官がマイナスに捉えてしまうことも考えらえるため、しっかりと具体的に答えるようにしましょう。
やってはいけない答えは、「ステータスが高いから」や「高収入であるから」といった答えです。
このような答えは、倫理的にあまりよくないため一発で不合格になることも考えられます。
あくまで倫理的な志望動機を答えるようにしましょう。
(2)その医学部を希望する理由
その大学の医学部を志望する理由も、ほぼ聞かれると思って準備しておきましょう。
そのためには、面接試験を受ける大学のことをよく知っておかなければなりません。例えば校風や医学部のカリキュラム、その大学で行われる研究などについてです。
このような志望する医学部の特色をよく調べ、自分が魅力を感じている部分をしっかりと面接官に伝えるようにしましょう。
(3)どのような医師になりたいか
「患者も自分と同じ人間である、ということを常に忘れない医師になりたい」というような方向性で答えるとよいでしょう。
現在の医療技術は飛躍的に進歩していて、専門的研究の成果で多くの命が救われています。しかし、患者から医師への信頼感や安心感が無ければ治療がうまく進まず、したがって回復も遅れるというようなことになりかねません。
患者に医師として、また人として信頼される医師になりたいという思いは非常に重要なものです。
(4)尊敬する人物とその理由
この質問では、受験生が尊敬し目標としている人物を知ることで、受験生の人柄や価値観を掴むためのものです。
歴史上の人物から、両親、学校の先生などさまざまな回答があると思いますが、誰と答えるにしても必ず具体的なエピソードを添えて尊敬する人物を答えるようにしましょう。
(5)最近のニュースで気になる話題とその理由
この質問で聞かれるニュースの内容は、医療と関係のない分野のものでも大丈夫です。
受験生が、現代社会全般に関わるどのような問題に興味があるかを問う質問だからです。
そのため、ニュースや新聞、インターネットなどで日ごろから社会の動きを知っておき、気になる問題があったら、その背後にどのような原因があったのかということまでしっかりと考察しておく癖をつけておきましょう。
そうすることで、この質問にも簡潔かつ適切な回答をすることができます。
(6)自分の長所と短所
長所は十分にアピールすることはもちろん重要ですが、自分の短所をしっかりと把握しておくこともまた重要です。
ただし、短所を言う場合にはその短所をどのように克服したかという点も添えて回答するとよいでしょう。
こうすることで、面接官に自分は自己分析ができ、短所を克服することができる人間であるとアピールできます。
4.答えられない質問を聞かれたら
どんなにしっかりと面接対策を行っていても、答えが分からない質問をされないとは限りません。
そのような場合には、どうすれば良いのでしょうか。
一番いけないのは、黙り込んでしまうことです。また、時には泣いてしまう受験生もいるようですが、これも良くありません。
このようなときは、冷静になって「その質問については、分かりません。不勉強で申し訳ございません」と素直に分からないことを面接官に伝えるようにしましょう。
言いつくろったりしてもぼろが出るだけなので、素直に自分が分からないことを認めることで、面接官に受験生の誠実さが伝わります。
まとめ
ここまで、医学部入試の面接試験について解説してきました。
面接試験で気を付ける点や、よく聞かれる質問などについてお分かりいただけたと思います。
学科試験も重要ですが、面接試験も受験生のパーソナリティーを見極めるうえで非常に重要な試験となっています。しっかりと準備を行い、面接試験に臨むようにしましょう。