医学部を退学するとどうなる

医学部を退学するとどうなる?その先にどのような進路があるのかについて解説

医学部は合格するのが非常に難しい学部であることは皆さんご存知だとは思いますが、実は医学部は継続して勉強を続けて無事に卒業することも、また非常に困難な学部でもあります。

勉強についていけなかったなどの理由で、退学してしまう学生も少なくありません。

では、勉強についていけなかったという理由以外にも退学になる理由はあるのでしょうか?

また、よく「医学部はつぶしがきかない」と言われますが、医学部を退学後にはどのような進路を選択できるのでしょうか。

ここでは医学部を退学する原因と、退学後の進路に関して詳しく解説していきます。

1.医学部を自主退学するまたは退学処分になる理由とは

医学部を自主退学する理由の中で多いのが、勉強についていけないという理由と経済的な理由です。

医師は人の命を扱う重い責任を負う職業であるため、学ぶ内容は非常に多岐にわたっており専門性もレベルも非常に高くなっています。

そのためストレートで医学部を卒業できる医学部生はあまり多くなく、留年する医学部生も珍しくありません。

このように留年を重ねることで、自分は医師に向いていないのでは…と考える医学部生も出てきて、結果として自主退学をしてしまうこともあるのが現状です。

このような状態になると、精神的に病んでしまうというケースも少なくありません。

病気や精神的な点が問題になるのであれば、休学して心身を休めることでスムーズに復学できることもあるので、休学することも視野に入れておきましょう。

また、私立医学部の場合には学費が国立の医学部に比べて高額であるため、留年してしまうとその分の学費が支払えなくなります。留年しながらでも医師を目指したいと思っていても、経済的な理由から医学部を退学せざるを得ない状況になってしまうこともあります。

退学の理由が経済的な物である場合には、奨学金の申請を行ったり、金融機関から教育ローンの借り入れを行ったりすることで退学しなくて済むこともあります。

退学の理由が経済的な物である場合には、もう一度金策を行ってみることをお勧めします。

また大学により留年できる年数は決まっています。その年数を超えて医学部にとどまり続けることはできないため、一定の年数留年を重ねてしまうと自動的に退学処分となってしまいます。

医学部では必修科目を一単位でも落としてしまえば留年ということになるため、留年を重ねたことが理由となる退学処分も非常に多い点が特徴です。

また、犯罪行為などの反社会的行為に加担したなどの理由では、退学処分より重い懲戒退学または抹籍処分が下されることもあります。

2.自主退学と退学処分、除籍、抹籍の違いとは

自主退学はその字の通り、自らで退学を選択することを言います。

退学する人の中で一番多いのが、この自主退学です。

一方、退学処分は別名懲戒退学とも呼ばれ、本人の意思とは関係なく大学側から退学させられることを言います。この退学処分になる理由には、過度の留年や大学内でトラブルを起こしたなど、医学部生に非がある場合です。

この2つが退学の種類ですが、どちらも大学に在籍していた記録は残るため、今までに取得した単位は残っており、努力次第では復学も不可能ではありません。この状態が、「医学部中退」です。

これ以外に「除籍」というものがあります。除籍とは、大学から籍を抜かれることを言います。

除籍になる理由はさまざまですが、授業料の未納や休学期間を超えて復学しなかった、大学で何らかの問題を起こしたなどの理由で除籍になることが多いようです。

除籍になると大学側から除籍証明書を発行してもらうことができ、在籍していた記録はきちんと大学側に残ります。

しかし近年では、除籍という言葉を使う大学は減ってきています。

この退学と除籍以外に「抹籍」というものがあり、これは文字通り大学の籍を抹消することを言います。

重大な犯罪を行った場合などに、この抹籍という措置が取られ、大学にいたという事実が無くなります。

3.退学後に復学は可能なのか

退学後に、大学に復学することは可能なのでしょうか。

自主退学、退学処分(放校・除籍)、抹籍の3つのケースについて解説していきます。

(1)自主退学の場合

自主退学の場合、元の大学を再受験して復学することは可能です。

しかし、再入学にはいくつかの条件があります。

その条件は大学により異なりますが、退学してから何年経っているかという点がポイントとなります。

再受験の条件として、退学してからの期間が2年から4年以内であることと定めている大学が多いようです。

またもう一つ重要なのは、「退学した理由」です。

退学した理由が病気やけがなどの長期療養のためなど、その医学生に落ち度がない内容であれば再受験をして復学することはそう難しくありません。

(2)退学処分(除籍・放校)の場合

退学処分を受けた場合にも、再受験をしての復学は制度上可能です。

しかし、退学処分を受けたということは、医学部生に何らかの落ち度があったために、退学になったということです。

復学に向けた再受験で問われる「退学した理由」が教授陣により話し合われて不合格になり、復学できない可能性も非常に高いと言わざるを得ないでしょう。

(3)抹籍の場合

医学部を抹籍になっても、再度入学することは可能なのでしょうか。

抹籍になってしまうと、入学時までさかのぼって在籍記録が消去されてしまうため、復学することはできません

また、就職の際に履歴書に「○○大学入学」などの記述をしても証明ができないため、経歴詐称になってしまうこともあるので注意しましょう。

4.医学部を退学した後にはどのような進路が選択できるのか

医学部に入ったからには、医師になるための勉強をメインで行うため、よく「医学部生はつぶしがきかない」と言われることもあります。

では、医学部を退学した後にはどのような進路を選択できるのでしょうか。

以下に詳しく解説していきます。

(1)医学部の再受験

医学部を退学した時点で、まだ単位は残っているため医学部を再受験するという進路があります。

これは教養課程が免除される2年次か3年次から編入するのが一般的です。

しかし編入試験は卒業した大学の履修単位をはじめ、さまざまな条件が付加されており、なおかつ倍率も20倍から30倍と非常に狭き門となっています。

再受験による編入性が多い大学では、再受験者に対して寛大な校風を持っている可能性が高いため、そのような大学を狙って再受験を行うのも良いでしょう。

場合によっては編入のための再受験よりも、大学入学共通テストから受ける一般入試からの入学のほうの難易度が低いこともあるため、この方法も検討してみると良いでしょう。

(2)他学部への編入

医学部を中退した場合に、他の医療系やその他の学部に編入することは可能です。

一般編入学試験を実施している大学であれば、希望する学部の三年次の一般編入学ができます。

この方法は、医学部に入りなおすより早く一人前の社会人になることができるというメリットがあります。

卒業後は就職したり、さらに大学院へ進学して研究職に就いたり、学士編入制度を利用して再び国公立大学の医学部に編入できます。

(3)就職

医学部を退学して、そのまま就職する人も少なくありません。

いままで医学部で勉強して得ることができた、理系の知識を活かすことができる企業に入社するケースも少なくありません。

しかしその場合の最終学歴は高校卒業となります。ただし、抹籍は在籍していた大学の名前を履歴書に書くことはできません。

5.医学部はつぶしがきかないというのは本当なのか

「医学部生はつぶしがきかない」とよく言われますが、これは本当のことなのでしょうか。

医学部の退学後に一番ネックになるのは、その人の年齢です。

医学部は、浪人や留年が当たり前と言っても過言ではない学部なので、退学した時点で25歳以上になっているケースも少なくありません。

企業が新卒または中退の社員を採用する場合には、経験やスキルの高さを求めているのではなく、社会人として最低限必要な基礎的な能力があるか、また成長意欲があり入社後に成長が期待できるかといった点を見て採用か不採用かを判断します。

この判断材料のうち、入社後の成長が期待できるかどうかといった点については、年齢が若いほど有利に働きます。

そのため、年齢が高くなりがちな医学部生はつぶしがきかないと言われるのです。

しかし、医学部に入学できる人は、もともと素養が高い人がほとんどです。

そのため、他の医療系の学部に比べて年齢が高かったとしても企業側に「能力の伸びしろがある」と判断されるケースも多くあります。

注意したい点は、自分が医学部を中退した理由をきちんと企業側に説明できるようにしておく必要があるということです。

自分がなぜ医学部を中退するに至ったか、中退したことを今どう思っているか、今後どのようなキャリアプランを描いているか、自分を採用するメリットは何か、という最低でもこの4点をしっかりと企業側に説明できるよう準備しておきましょう。

まとめ

ここまで医学部を退学する理由や退学の種類、医学部を退学した後の進路などについて解説してきました。

退学した経緯によって、その後に選択できる進路が大きく変わることが、お分かりいただけたと思います。

退学の理由で多いのは、勉強についていけずに精神を病んでしまった、経済的に苦しい、医師に向いていないことに気づいたとなどの医学生本人に非がない理由がほとんどです。

このような場合は中退して他の進路を目指したり、心身を回復させて改めて医学部で学ぶことに挑戦したりするなどさまざまな進路の選択ができます。

しかし、退学するかどうかを自分ひとりで決めるのではなく、必ず信頼できる大学の医学部関係者に相談してから、最善の方法を取るようにしましょう。

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