医学部受験に向けた英語の勉強

医学部受験に向けた英語の勉強の方法を解説

国立医学部の二次試験は英語・数学・理科(生物または物理)で行われ、私立医学部の場合には、これ以外の科目が追加される場合もあります。

また大学共通入学テストの場合には、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目で構成されており、この外国語の中でも英語を選択する受験生が非常に多くなると予想されます。

このように、医学部受験と英語は切っても切り離せないものです。

ここでは、医学部を受験するにあたっての英語の重要性やその勉強方法などについて詳しく解説していきます。

1.医学部受験は英語で差が付く

医学部は理系の学部であるため、当然ほとんどの学生が高校時代に理系の勉強をメインに勉強しています。

そのため、文系の科目である英語に苦手意識を持っている医学部受験生も少なくありません。

もともと理系の科目である数学と理科については、ほとんどの医学部受験生は得意とする科目です。

しかし、英語については医学部受験生ごとにその実力に大きな差があるため、この英語で高得点を得ることで、他の医学部受験生に大きく差をつけることができるのです。

2.国立医学部と私立医学部の英語の出題傾向の違い

国立医学部と私立医学部の各医学部の英語の出題傾向には、それぞれ違いがあります。

国立医学部と私立医学部共に共通する英語の受験問題の特徴としては、ボリュームが多いという点です。

そのため、出題傾向をしっかりと把握しスピーディーに問題を解いていく必要が出てきます。

ここではその出題傾向の違いについて解説していきます。

(1)国立医学部

国立医学部の英語の出題傾向の大きな特徴は、記述式の問題が多いという点です。

そのため英単語や英熟語をしっかりと暗記しスペルミスを犯すことなく、また英文法もきちんと頭に入れておく必要があります。

長文の要約や論旨一致などの問題も多いため、英文を正しく理解し書き手の言いたいことや文章全体の内容をしっかりと読み取り理解することが重要です。

英語力だけではなく国語力も必要となるのが、国立医学部の英語の問題の特徴です。

国立医学部の英語の問題の難易度は、私立医学部に比べると低くなっています。しかし、正確な英文読解力が必要となり、またボリュームも多いため回答にスピードも要求されます。

そのため、油断することなく受験勉強を始めた時点から長期的に計画を立て、しっかりと英語力を身につけることが最も重要であるといえます。

(2)私立医学部

私立医学部の場合は、その大学ごとに出題傾向が大きく異なります。

志望する私立医学部が決まったらその私立医学部の過去問題を十分に分析しておく必要があります。

しかし、全ての私立医学部の英語の受験問題に共通する点もあります。

それは長文問題の長文が長いことと、正誤問題の比重が高いということです。

複数の私立医学部の受験を予定している場合には、この基本的な私立医学部の英語の出題傾向に対応できるように、英単語や英文法など基礎的な英語力を身につけてから、志望校別の英語試験対策を行いましょう。

それ以外に私立医学部の英語の試験の特徴として、難易度が高いという点が挙げられます。私立医学部の英語の試験で高得点を挙げるためには、高い英語力が必要です。

3.医学部と他学部の英語の受験問題に大きな違いはあるのか

医学部と他学部では、英語の受験問題に大きな違いはあるのでしょうか。

国立医学部で総合大学の場合は、基本的に他学部と同じ英語の問題で受験が行われます。

そのためそれほど難易度が高い問題が出ることはありません。難易度が低いということは他の受験生も高得点を取りやすいということなので、一問のミスで不合格になる確率が高く油断ができないという点が特徴です。

しかし国立大学であっても医学部系統のみの学部を有する大学の場合には、医学用語を用いた英語の問題が多く出題される大学もあります。他学部と同じような英語の勉強をしていては合格することは難しいでしょう。

自分が志望する大学では、どのような出題傾向になっているのかをしっかりと確認しておくことが重要です。

一方私立医学部の場合ですが、医学部英語と呼ばれる医療系の単語が豊富な医学部独自の受験問題になっています。

私立医学部の英語の受験問題では、実際の医療現場を想定したより実践的な英語力が求められる傾向があります。

そのため、医学部英語のための専門の参考書などを用いて、対策を立てなければなりません。

このように、国立医学部では他学部と全く同じ受験問題が出る医学部と違う受験問題が出る医学部があります。加えて、私立の医学部では医学部独自の英語の受験問題が出るということを頭に入れ、志望する大学の出題傾向に沿った対策を立てるようにしましょう。

4.英語の習得には時間がかかるため早めに受験勉強を始めたほうが有利

英語の習得には、非常に長い時間が必要となります。

なぜなら、英語の習得のためには英単語や英熟語、英文法の暗記など基礎的な部分で暗記するべきものが非常に多いためです。

医学部受験が迫ってきてから英語の勉強を始めようとした場合、この基礎となる英単語や英熟語、英文法を十分な数だけ暗記する時間を捻出することが難しくなります。

そのため医学部受験に向けた英語の勉強は、遅くとも高校一年生の時点から始め、基礎的な部分をしっかりと固めることから始めるようにしましょう。

5.英語力を確実に身につけるステップとは

英語力を確実に身につけるためには、適切なステップを踏んでいく必要があります。

ここでは、その適切なステップについて解説してきます。

(1)英単語と英熟語の徹底的な暗記

医学部受験に向けて覚えるべき英単語と英熟語は、膨大な量に及びます。

これらを効率的に暗記するためには、短期集中で一気に暗記し、その後何度も復習を繰り返すという方法です。

一つ一つの英単語や英熟語に対して、丁寧に時間をかけて覚えていては、一通り暗記するべき英単語と英熟語をマスターしたと思っていても、次に復習するころには忘れている可能性が高くなります。

そのため、英単語と英熟語の暗記は一気呵成に行い、これを何度も繰り返すことで前回修得した内容にさらに記憶を重ねて、効率的に英単語と英熟語を暗記することが可能になります。

(2)英文法の徹底的な修得

英文法をしっかりと修得するためには、いきなり問題集に取り組んではいけません。

まず講義型参考書を使用して、特にSVOCなどの文型、自動詞と他動詞、装飾のルールなどの英語の得点力を付けるための勉強を行いましょう。

このような方法で英文法の基礎を身につけてから、問題集に取り掛かる方法が一般的です。

英文法の基礎を徹底的に理解することで、文法問題での得点率が上がることはもちろんですが、長文問題の読解力も付くためこちらの成績の伸びも期待できるようになります。

(3)英文読解力の習得

英文読解力の習得には、以下の3つの段階を経る必要があります。

①精読力を身につける

精読力とは、英文の構造が取れてその内容を正確に理解する力のことを言います。

英文の構造を取るためには、まず構文の暗記が必要です。

構文の暗記をしっかりと行わないまま構文を意識せず英文を読んだ場合、単語だけを自分勝手に組み合わせて、何となく和訳してしまい正しい和訳ができなくなってしまいます。

そのため、構文を徹底的に暗記して英文の構造を取り、その内容を正確に理解できるようにしましょう。

②速読力を身につける

医学部の英語の受験問題の特徴は、国立医学部・私立医学部を問わずボリュームが多いという点です。

そのため、いかに早く英文を理解し回答できるかが、高得点を得られるかどうかに直結してきます。

英文の速読力を付けるためには、英文を何度も読みこなして日本語に訳さなくてもその意味が汲み取れるような読み方ができるまで、繰り返し英文を読み込むことが大切です。

このように繰り返し読み込みを行い、英文をそのまま訳すことなく理解できるようになることで、英文を読むスピードが格段に速くなります。

英文を読む→和訳する→理解するという3段階のプロセスのうち、和訳するというプロセスを省くことができるだけで、飛躍的に速読力が身につきます。

③長文問題に挑戦する

英文を正確に速読できるようになって初めて、長文問題に挑戦するようにしましょう。

この場合は問題を解くまでにどの程度の時間がかかったかを計測しておくことで、実際の医学部受験の際に長文問題にどの程度の時間をかけることができるかを把握できます。

このように本番の試験と同様に時間を測って2019年度以前のセンター試験や各医学部の二次試験の過去問題を解いていくことで、長文問題を解く英語力を上げることが可能になります。

(4)リスニング対策を行う

リスニング対策は、「とにかく英語を聞くことに慣れる」ということが重要になります。

英語のスピードは日本語よりも早いため、そのスピードとリズムに慣れるためにも毎日少しずつでも英語を聞く習慣を身につけるようにしましょう。

(5)英作文対策を行う

近年では、自由英作文の出題がなされることが多くなってきています。

そのため、英文を読むだけではなく、英文を書く能力も重要になっています。

この英作文の対策としては、いかに英語に訳しやすい日本語を作るかということです。

この自由英作文の答えは一つではなく、さまざまあります。そのさまざまな答えの中から、一番自分が知っている英単語や文法が使えるものを選ぶことが重要になってきます。

このような自由英作文の問題は、英文が正確なほうが減点の対象になりません。自分の考えをそのまま英文に訳すよりも、英文に訳しやすいその問いへの答えを見つけて英文を作成すると良いでしょう。

まとめ

ここまで、医学部受験の際の英語について解説してきました。

私立医学部と国立医学部の英語の出題傾向の違いや、医学部受験に向けての英語の勉強方法などについてお分かりいただけたと思います。

英語の習得には、膨大な英単語や英熟語、英文法の暗記から始まる積み重ねが重要になります。

そのためなるべく早い時期から英語の習得のための勉強時間を確保し、確実な英語力を身につけるようにしましょう。

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