医学部を受験する際には、必ずと言っていいほど面接試験があります。
この面接試験では、受験生の人間性や医師としてふさわしい倫理観を持っているかどうか、どのような医師になりたいと思っているのかといった点を見極めるために面接官から質問が投げかけられます。
面接官はこのような質問に対する答えのほかに、受験生の服装についても厳しくチェックを行っていると考えたほうが良いでしょう。
ここでは、医学部の面接試験に臨むにあたって、ふさわしい服装や身だしなみについて詳しく解説していきます。
1.医学部の面接試験の際の服装で不合格になることはあるのか
医学部の面接試験の際に、そぐわない服装で臨んでしまうと、それだけで面接試験に落ちてしまう可能性は十分にあります。
面接試験という場所は、いわゆる「フォーマルな」場になります。
そのため、TPOに合わせた服装ができているかという点も試験官はチェックしています。
TPOに合った服装ができているかどうかということで、受験生の「常識力」が図られているためです。
そのため面接官の印象に残ろうと奇抜な服装をしていこうという考えを持っている人は、今すぐそのような考えは捨ててください。
そして面接官に良い印象を与えるためには、しっかりと質問に答えるなどの質疑応答の内容が重要になるので、そちらのほうで対策を練っておくようにしましょう。
2.一番重要なのは清潔感ときちんとした印象
面接を受ける際に重要な点は、面接官に清潔感があるきちんとした印象を与えることです。
不潔だったり、だらしなかったり、または派手すぎたりする服装では、受験生の評価が非常に低くなってしまいます。
面接試験という場にふさわしい服装と、清潔感を感じさせるために身だしなみを整えることは非常に重要です。
3.医学部の面接に適した服装とは
医学部の面接試験に適した服装には、制服がある現役生、制服がない現役生、浪人生ごとに違いがあります。
ここでは、それぞれの受験生にふさわしい面接に臨む際の服装について解説していきます。
(1)制服がある現役生の場合
制服がある現役生の場合は、制服を着用しましょう。
その際に、制服を着崩したりせずきちんと着るよう心がけてください。
また、その着ていく制服のサイズが自分に合っているか、特に袖丈やスカートまたはスラックスのすそ丈が合っているかどうかをチェックしておきましょう。
特に女性の現役生の場合には、短すぎるスカート丈は面接官に良くない印象を与えてしまいます。スカートは、ひざが隠れる程度の丈のものを着用しましょう。
制服にほつれ、ボタンが取れかけているまたは取れているといった点にも注意が必要です。このような場合には、直しておくようにしましょう。
(2)制服がない現役生の場合
制服がない現役生の場合には、男女でふさわしい服装が異なります。
ここでは、男女別にふさわしい服装を解説していきます。
①男性
制服がない男性の現役生の場合は、スーツを着用するとよいでしょう。
ワイシャツは白を、ネクタイも控えめな柄や色のものを選ぶようにしましょう。
普段私服で学校に通っているため、スーツは着慣れず着るだけで緊張してしまうということも考えられるため、面接の前に何度かスーツを着用して話す練習をしておくと良いでしょう。
模擬面接等がある場合には、本番で着ていくスーツを着用しておくと安心です。
スーツの色は、喪服のような黒以外の暗い色を選ぶことが重要です。無難な色は、濃紺やダークグレーとなります。
また、男性の場合は特にネクタイを自分で結べるようにしっかりと練習しておくことも重要です。
なにかアクシデントがあってネクタイを結びなおす必要があったときに、自分で結ぶことができないと自分で身だしなみを整えることができないからです。
また、靴は革靴を履いていきましょう。こちらも面接試験の前日までに、ある程度履きならしておくことが大切です。面接試験の前日にはしっかりと磨いておくようにしましょう。
②女性
女性の制服がない現役生の場合は、スーツを着用するようにしましょう。
スーツの色は男性と同様にダークな色を選び、ワイシャツは白いものを着るようにしましょう。
スカート丈はひざ下、そして肌の色に合ったストッキングを着用し、ヒールの低い黒のパンプスを着用してください。
女性の現役生の場合も、スーツを着慣れている現役生はすくないと思うので模擬面接などの際にスーツを着用し、スーツ姿で人と話すことに慣れておくと安心です。
また、パンプスに関してもある程度履きならしておき、前日には汚れが無いようしっかりと磨いておくようにしましょう。
(3)浪人生の場合
浪人生の場合は、男性女性共に制服がない現役生と同様にスーツを着用することをお勧めします。
浪人生の場合は現役生に比べてスーツの着用経験が多い人もいると思いますが、やはり模擬面接などの際に本番と同じスーツを着用し、その格好で質疑応答をすることに慣れておくと良いでしょう。
4.服装以外に身だしなみにも注意が必要
服装がきちんとしていても、それ以外の身だしなみに気を使っていないと清潔感からは程遠い印象になってしまうことも考えられます。
ここでは、服装以外に気を付けるべき身だしなみについて解説していきます。
(1)男性の場合
ここでは、男性の身だしなみについて詳しく解説していきます。
①髪型
まず、長髪と明るすぎる色に染めているのは論外です。
すぐに短髪にし、黒または黒に近い色に染め直すようにしましょう。
もともと短髪の男性の場合でも、面接試験の直前には美容院や理容院に行ってカットをし、髪型を整えておくことをお勧めします。
また、適量の整髪料を使って髪をセットすることで清潔感を出すこともできるため、この方法も検討しておきましょう。
②爪
爪が伸びていないか、爪の間が汚れていないかチェックしましょう。
爪を短く切っていても爪の先がガタガタになった状態ではあまりいい印象は与えられません。やすりも使って、爪の先までしっかりと整えておきましょう。
③ひげ
ひげが伸びている状態は、たとえファッションでも面接試験には相応しくありません。
それは、無精ひげであっても同じことが言えます。面接試験の当日には、朝からしっかりシェービングを行いましょう。
④着衣の汚れ
着ていくスーツや制服が汚れやしわ、ほつれ、取れそうなボタンやボタンが取れてしまっている状態がないかどうかチェックすることが大切です。
このような状態であれば、自分できちんと整え、また面接試験の前にクリーニングに出しておき、清潔な状態にしておくようにしましょう。
⑤アクセサリー
全てのアクセサリーは外しましょう。
再受験生の中で、結婚している人は結婚指輪だけは付けておいても問題はありません。
(2)女性の場合
ここでは、女性の受験生の身だしなみについて詳しく解説していきます。
①髪型
女性の場合は、まず髪の色が問題になることが多いようです。
明るい髪色の場合には、面接試験の前に黒に近い色に染め直しておくようにしましょう。長い髪の場合は、後ろでまとめておくと無難です。
ショートヘアの場合には、面接の前に時期を選んで美容室に行き、カットして整えておくようにしましょう。
また、前髪も目にかからないようにまとめる、切る、ブローしておくなどの対策を取っておくと良いでしょう。
②爪
女性の場合は爪を伸ばしていたり、ネイルアートをしたりしている受験生もいるかもしれませんが、これらはすべて面接試験にふさわしくありません。
事前にネイルアートやマニキュアは落とし、短く切ってやすりで形を整えておくことをお勧めします。
③化粧
近年では、現役生の年齢であってもメイクをする女性は増えてきています。
しかし、面接試験は遊びではないので普段派手なメイクをしている人は現役生、浪人生問わず要注意です。
未成年の場合にはノーメイクでも全く問題はありませんし、どうしてもメイクをしたいという人は、あくまでも健康的な印象を与えるナチュラルメイクに留めましょう。
④着衣の汚れ
こちらも男性の場合と同じく着ていくスーツや制服が汚れやしわ、ほつれ、取れそうなボタンやボタンが取れてしまっている状態がないかどうかチェックが大切です。
スーツや制服に不具合があれば手直しをして、クリーニングに出した直後の状態のものを着て面接試験に臨むとよいでしょう。
⑤アクセサリー
こちらも男性と同じく、既婚者の結婚指輪以外のアクセサリーはすべて外すようにしましょう。
5.万が一の場合に備えて準備をしておく
これ以外に身だしなみや服装が乱れた場合に、備えておくべきことがあります。
特に女性でストッキングを着用する場合には、伝線してしまったときに備えて替えを一足準備しておきましょう。
男性の場合も、アクシデントにより靴下がぬれたり汚れたりすることも考えられるため、替えを用意しておくことをお勧めします。
また、ふけやその他の汚れがスーツについてしまうとせっかくクリーニングに出して清潔にしたのに、清潔感が全く感じられなくなってしまうため、携帯用の衣類ブラシも持っておくと良いでしょう。
コロナ禍の現在では、面接時のマスク着用は必須の場合が多くなっています。
このマスクについても、紛失や汚してしまった場合に備えて替えをひとつ持っておくと安心です。
それ以外に、普段は着慣れない革靴やパンプスで靴擦れができてしまうことも予想されるため、応急処置用の絆創膏を用意しておくといざというときに痛い思いをせずにすみます。
まとめ
ここまで、面接試験の際の適切な服装や身だしなみについて詳しく解説してきました。
面接試験の際に、服装や身だしなみが非常に重要であることがお分かりいただけたと思います。
これらの服装や身だしなみを整えるのには、着ていくスーツや制服をクリーニングに出したり、理容室や美容室に行ったりと時間がかかる事柄もあります。
面接試験に間に合うようにこれらのスケジュールを組み、当日は清潔感のあるきちんとした服装と身だしなみで面接試験に臨むようにしましょう。