医学部浪人に失敗したときの対処方法

医学部浪人に失敗したときの対処方法を解説

医学部は最難関の学部と言われることも多く、浪人を重ねても必ず合格できるとは限りません。

浪人を重ねても合格できない、いわゆる「浪人に失敗した人」にはどのような将来が待っているのでしょうか。また何年までの浪人なら、許容範囲なのでしょうか。

ここでは医学部を浪人し、失敗した場合の進路や浪人を重ねないための対策について詳しく解説していきます。

1.医学部では浪人生は珍しくない

医学部の現役合格率は、国立医学部で約4割、私立医学部で約3割であると言われています。

つまり、6割から7割の人が浪人生なのです。

このように、医学部の受験生の中で浪人生が占める割合は非常に高く、浪人することは決して珍しいことではありません。

また、1浪・2浪で医学部を諦めることなく3浪・4浪と浪人を重ねても、まだあきらめずに医学部を目指す人もします。

現役合格率が一番低い福岡大学医学部(私立)の場合には、一番合格率が高いのが3浪以上の人となっています。

このように、医学部に現役合格することは非常に難しく、浪人して再受験を行う人は珍しくないというのが現状です。

2.浪人に失敗ないためにはどのような対策をとるべきなのか

浪人に失敗して浪人を重ねないためには、現役生の時とは異なる対策を取る必要があります。

ここでは、その対策について詳しく解説していきます。

(1)志望する医学部のレベルを下げる

前年度に受験した医学部に不合格になった場合、志望校のレベルを下げるという方法で浪人して、次の医学部受験に備える人も少なくなりません。

一般的に国立医学部は偏差値が高く、私立の医学部には偏差値に差があることが多いため、志望校を私立の偏差値がそう高くない医学部に変更することで、浪人を重ねないようにできる可能性が高くなります。

(2)予備校や家庭教師を活用し学力の向上を図る

浪人中に独学をし、偏差値を上げ志望する医学部に合格するのは非常に難しいといえます。

このような独学で再受験を行い志望する医学部に合格できる人は、もともと地頭が良く、勉強を要領よくこなすことができ、高いモチベーションを維持し続けることができる人に限られると言っても過言ではありません。

これは裏を返せばほとんどの人は、浪人中独学で学力を上げることは大変難しいということです。

そのためいわゆる「普通の人」は、医学部専門の予備校に通ったり、家庭教師の力を借りたりすることで浪人中に学力を上げやすくなります。

特に複数の苦手科目がある人や、自己管理がうまくできない人には浪人を重ねないためにもこの方法をお勧めします。

(3)他の学部に志望を変える

医学部への合格が難しいと考えた場合には、他の学部へ志望を変更することも視野に入れておきましょう。

医学部と学習内容が似ているという点から、歯学部や獣医学部、薬学部や看護学部などに進路を変更する浪人生もいるようです。

歯学部の場合は、一定の単位を取得した後や卒業後に医学部へ編入する資格を得ることができるため、卒業後にどうしても医学部で学びたいと思った場合には編入試験を受けることも可能です。

そのため、医学部を諦めきれない人は歯学部への志望変更がベターな方法であるといえます。

3.浪人生以外に医学部を再受験する人はいるのか

一般的に、医学部受験は現役生と浪人生がメインとなって受験に挑みます。

しかし現役生以外にも、仮面浪人をしていた大学生や社会人として経験を積んだ後に医学部を志望し、受験する人も少なくありません。

このような人たちの中には、20代や30代、時には40代の受験生もいます。

4.医学部志望の受験生は二浪まで浪人する人も少なくない

前述したように、現役での医学部への合格率は国立医学部のほうが高く、私立医学部のほうが低い傾向があります。

その理由は国立医学部ではセンター試験(2020年度からは大学共通入学テスト)が課されるのに対して、受験科目が少ない私立医学部を選び合格を目指す浪人生が多くなるためです。

また、合格者全体の傾向を見ると、現役・1浪・2浪までは合格率にそれほど大きな差は出ません。

そのため、2浪までであれば医学部合格の可能性は十分にあると考えられます。

しかし、3浪以上になると合格率が低くなってしまうため、他の学部に進路を変更したり、就職したりする浪人生の数が増えてきます。

5.医学部に浪人しやすい人には共通した特徴がある

医学部に浪人しやすい人には、いくつかの共通した特徴があります。

ここでは、その浪人しやすい人の特徴について解説していきます。

(1)現在の勉強量で満足している

現在独学であっても、予備校や家庭教師の力を借りているのであっても、現在の自分の勉強量に満足している人は医学部受験に成功しにくい傾向があります。

常に今の自分の勉強量で医学部に合格できるのか、さらに受験勉強などの受験対策に改善の余地はないかということを模索しながら勉強を続ける人が、医学部合格に近づくことができます。

勉強を行った後は必ず復習の時間を設け、反復学習を徹底して勉強した内容を自分のものとして定着させていくことが重要になります。

(2)一冊の参考書を徹底してやりこまない

一冊の参考書を徹底して勉強しつくさずに、次々と新しい参考書などに手を出す人は、次回の医学部受験でも失敗してしまう可能性が高くなります。

何冊もの参考書をこなしていっても、それらをしっかりと全てのページに渡って勉強しつくさないと、解かなかった問題または解けなかった問題についてはいつまでも不得意なままに終わってしまうためです。

このように何冊もの参考書に手を伸ばしながらも、全ての問題をしっかり解くことができないと、「苦手な問題を克服する」という勉強の本来の目的を果たすことができなくなってしまい、意味のない勉強になってしまいます。

(3)自分のミスを他責にする

自分の失敗に向き合うことができない人は、次の医学部受験でも失敗してしまう可能性が高いです。

ケアレスミスなどがあっても、単なる不注意として片づけることなく、なぜそこで間違いを犯してしまったかという点をしっかりと分析して、次に生かそうという姿勢が大切です。

浪人生は少なくとも一度は、医学部受験に失敗しています。

その失敗の原因を、他責にすることなく真摯に受け止め自己分析を行い、適切な対応を取ることで次の医学部受験で合格できる可能性が高くなります。

6.浪人生が医学部を再受験する際の注意点

浪人生が医学部を再受験するために注意するべきポイントは3つあります。

ここでは、その3つのポイントについて解説していきます。

(1)面接対策をしっかりとおこなう

医学部の受験に、面接試験は付き物です。

このとき浪人生の場合は浪人した原因や、浪人してまで再受験した理由など浪人生ならではの質問をされることも予想されます。

一般的な医学部の面接試験対策に合わせて、浪人生ならではの面接・質問に対する回答対策も立てておきましょう。

(2)勉強時間をしっかりと確保する

浪人生の場合は、見方を変えれば1日中、医学部受験の勉強に時間を割くことができる恵まれた環境であるということもできます。

この恵まれた環境を活かして、医学部受験に向けた勉強時間をしっかりと確保するようにしましょう。

まずは1日に自分が勉強に費やしている時間をしっかりと計り、それ以外の時間は何をしているかということを把握することから始めるとよいでしょう。

こうすることで、1日の中で無為に過ごしている時間を見つけることができ、その時間を勉強時間に加えることでさらに多くの勉強時間を確保できます。

(3)理数系の科目と英語には特に重点を置いて勉強する

医学部の二次試験は、英語・数学・理科2科目で行われる大学が多くなっています。

そのため、これらの教科に関しては特に重点的に学力を伸ばしていくようにしましょう。

国立医学部を再受験する受験生は、2021年度から大学共通入学テストを受験する必要が出てくるため、そちらのほうの対策も怠らないようにしなくてはなりません。

このような新しい受験制度の情報も、しっかりと集めておくようにしましょう。

7.医学部志望で浪人を繰り返すとどうなるのか

医学部を志望しながら、3浪、4浪と浪人を重ねる人もいます。

そのような人には、どのような将来が待っているのでしょうか。ここではその一例を紹介していきます。

(1)一般企業への就職が困難になる

浪人を重ねることに、当然の事ながら年齢も重ねていくことになります。

しかし、年齢が上がっても学歴は高卒のままです。

このような状態になると、高齢の高卒者となってしまうため、医学部を諦めて就職しようとしても、採用してくれる企業が少なくなってしまいます。

浪人を重ねると、就職に進路を希望した場合でも、希望した企業への就職がむずかしくなってしまいます。

(2)人間関係が壊れてしまう

浪人を繰り返すことで、周囲の人との人間関係が壊れてしまうケースもあります。

周囲を見れば、一足先に社会人や大学生になった友人たちに対して強い劣等感を抱いてしまうこともあるでしょう。

また、浪人中は勉強に全力を注ぐ必要があるため、友人たちと疎遠になってしまうことも考えられます。

このような理由から、浪人を繰り返すことで周囲の人との人間関係が壊れてしまうことも考えられます。

(3)精神疾患を患ってしまうこともある

前述したように、浪人を重ねると周囲の人と自分とを比べて劣等感を持ってしまう人も少なくありません。

そのような状況で、周囲の人と自分を比較してしまい将来に対して悲観的になってしまうこともあるでしょう。

このような状態が続くと、うつ状態や無気力な状態になってしまい、精神疾患に陥ってしまう可能性も出てきてしまいます。

まとめ

ここまで、浪人に失敗しない方法、浪人に失敗しやすい人の特徴、浪人生が再受験する際に注意すべきポイント、浪人を繰り返すとどうなるのかといった点について解説していきました。

どうしても医師になりたいという強いモチベーションを持ち続け、医学部受験の最新の情報を集めて、常に勉強し続ける力がない人は、何浪しても医学部に合格することは難しいでしょう。

自分で、どこまで頑張って医学部受験に取り組むか期限を決めてから医学部合格を目指すようにしましょう。

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