医学部の入学試験は、近年倍率が下がっていると言われており、医学部入学の難易度は下がっているのではないかと考えられます。
しかしながら、受験自体の難易度はこれまでと比較して変わらない、もしくは高くなってきており、どちらにせよ医学部受験の難易度が高いのは言うまでもありません。
そんななか、医学部受験の形式には前期・後期という大きく分けて二つの形式があることを知っている方は少ないのではないでしょうか?
この記事では、そんな医学部受験の後期試験について、「受かりやすいのか?」「どういう対策をすればいいのか?」などを、詳しく徹底的に解説していきます。
1.医学部受験の後期試験とはなにか?
まずは、医学部の後期試験というシステムを知らない方のために、少しだけ後期試験を詳しく解説していきます。
それが以下になります。
(1)前期試験の後に行われる予備試験の位置づけ
(2)前期試験と試験問題の難易度や傾向は変わらないことが多い
それぞれ細かく見ていきましょう。
(1)前期試験の後に行われる追試験の位置づけ
まずは、至極当たり前と言えば当たり前なのですが、後期試験は基本的に前期試験が終わった後に行われる試験になります。
例えば、2020年度であれば多くの私立大学医学部の前期試験は、1月中に実施されますが、後期試験は1~2か月後の2月後半~3月に行われることが多いです。
また、国公立大学の場合は2月に前期試験、3月に後期試験というパターンが定番になります。
これは、大学によって定義づけが異なりますが、多くは「前期試験で採り切れなかった優秀な層」を大学に入れるために実施される試験であると言えます。
つまりは、本試験として扱われている前期試験を通過できなかった場合の救援策として、追試験である「後期試験」が行われているというように解釈できますね。
(2)前期試験と試験問題の難易度や傾向は変わらないことが多い
次に、本試験という位置づけである前期試験の追試験であるという位置づけから、多くの大学では「それほど難易度や傾向が変わらない」という現象を見ることができます。
これがもし、後期試験という試験が「前期試験とは全く異なる人物像」の生徒を求める試験ならば、かなり形式を変えてくるはずです。しかし、実際のところ、ほとんど試験形式は変わらずに、前期試験と似たような人物像を求めてくることが多いです。
これは、大学の求める人物像が、そうそうブレるものではない、ということと関連しているかもしれません。
また、大学側としても新しい形式の試験を作るよりかは、前期試験と似たような形式の試験を作ることによって、作問する教員側の負担を軽減するという意図もあるのでしょう。
したがって、医学部受験の前期試験と後期試験の難易度、傾向はさほど変わるものではないと言うことができます。
2.医学部の前期試験と後期試験の違いは?
それでは、逆に医学部受験における前期試験と後期試験の違いとはどんなところなのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。
その違いというのが以下。
(1)前期試験で合格できなかった場合に受けることができる
(2)時期が一か月程度離れている
(3)前期試験もより高いレベルでの争いを求められる
(4)枠が狭く合格する可能性が低くなる
それぞれ詳しく解説していきます。
(1)前期試験で合格できなかった場合に受けることができる
まず、前期試験で合格できなかった場合に受けることができる、というものです。
これは私立大学では当てはまらないことが多いですが、国公立大学では基本的にこの原則が適用されます。
つまり、前期試験で当該大学に合格できなかった場合にのみ、その大学の後期試験を受験できるというものです。
一例を挙げると、名古屋大学医学部では前期試験が行われており、その試験に合格できなかった場合にのみ、後期試験を受験できます。
他にも多数、後期試験実施大学はありますが、唯一山梨大学だけは例外で、試験形式は全て「後期試験」という位置づけになっています。つまり、山梨大学に入学したいという場合は、実質一発勝負であるということができますね。
(2)時期が一か月程度離れている
これは最初の説明でも挙げていますが、前期試験と後期試験の間には一般的に1か月程度の期間が空けられている場合が多いです。
理由としては、受験生側に十分な勉強期間を与えるということ、そして他の大学との試験日時の被りを避けるためです。
大学側としても、本当に勉強してきた受験生には本来の実力を発揮してほしいという思惑があるため、しっかりと1か月以上の期間を空けているということができるでしょう。
むろん、多数の志望校がある場合はこの期間を有効活用できない可能性も十分に考えられるため、それを見越して早めに後期試験対策を始めることが必要になってきます。
(3)前期試験もより高いレベルでの争いを求められる
先ほど、前期試験と後期試験では試験形式の差もなく、難易度としても同じぐらいと言いましたが、それはあくまで「試験問題」の形式と難易度の話です。
前期試験で合格できなかった「本来であれば受かったはず」の層が、死に物狂いで努力して後期試験を受験してくるため、後期試験の倍率は非常に高くなることが多いです。
また、後述しますが前期試験と比べて募集人数もかなり絞られてくるので、必然的に後期試験の倍率は上がります。
(4)枠が狭く合格する可能性が低くなる
(3)でも説明していますが、基本的に後期試験の募集人数はかなり少なくなります(山梨大学など後期試験実施のみの大学は除く)。
対して、前期試験と比べて「最後のチャンス」を求めて受験する人数はかなり多くなるため、倍率が非常に高くなるのは想像に難くないでしょう。
さらに、受験者層も平均以上の成績を持った方が多くなるため、見た目上の合格可能性は非常に低くなります。
(5)後期試験を当てにしてはいけない
(1)~(4)をお読みいただいて分かったかもしれませんが、これらのことから考えると、医学部受験において「後期試験頼み」というのが、非常に危険な行為であるということをお分かりいただけたでしょうか?
「倍率が高く」「成績の高い層が多く」かつ、「失敗した時のリスクヘッジができない」ということから考えると、医学部受験では後期試験を当てにしてはいけない、ということが言えますね。
むろん、前期試験を必死に受けた上での後期試験への挑戦は、「医学部合格の選択肢」としては非常に優秀ですから、最終的に受けるべき状況になった場合は、ぜひ受験して合格可能性を広げるようにしてください。
3.後期試験に合格するためのコツ
それでは、そんな合格難易度の高い後期試験に合格するためにはどんなことをすればよいのでしょうか?
その具体的なコツを下に挙げてみました。
(1)最後まであきらめない
(2)同じ大学の過去問を徹底的にやりこむ
(3)前期試験でできなかった問題や範囲を徹底的に潰す
言わずとも分かるかもしれませんが、説明していきます。
(1)最後まであきらめない
まずは、何事もそうですが「最後まであきらめない」ということ。
医学部受験にも、先ほど言ったような前期試験と後期試験のほかに、AO入試、推薦入試など多彩な方式があります。
これらを受けることによって、少しでも合格可能性を上げるというのは有効な一つの手でしょう。
また、後期試験を受けざるを得ないという状況で、例え後期試験の難易度が高いと知っていたとしても、最後まで真剣に取り組むことによって、少しでも合格可能性を高めることができるということは知っておくべきでしょう。
途中であきらめてしまえば、受かるものも受からないというのは受験界では有名な話です。
(2)同じ大学の過去問を徹底的にやりこむ
次に、後期試験の戦略として、「同じ大学の過去問を徹底的にやりこむ」ということが挙げられます。
これは先ほども言っていた、前期試験と後期試験の問題の相同性から導き出される対策です。
例えば、浜松医科大学は前期と後期両方の過去問が公開されています。そのため、後期試験を受験する際は前期と後期両方の過去問に取り組み、問題の傾向などを読み取っていくことが非常に有効になってきます。
(3)前期試験でできなかった問題や範囲を徹底的に潰す
最後に、後期試験に挑むうえで最も重要なコツは「前期試験でできなかった問題、範囲を徹底的に潰す」ということです。
前項で説明した過去問をやりこむというのも非常に重要なのですが、その過去問の中でも最も新しく、その大学の傾向を表しているのが「前期試験」の問題です。
したがって、一番手っ取り早くその大学の問題形式になれ、傾向をつかもうと思った場合にまずやるべきことは、前期試験のやり直し(ない場合は調達して取り組む)になります。
前期試験で出題された問題が出される可能性は低いですが、問題として聞いてくる分野や内容は被ることが多く、知識の問われ方も似る傾向にあります。
前期試験で涙を呑んだという場合はなおのこと、前期試験のやり直しと傾向対策を行うべきでしょう。
4.医学部の後期試験を受験するときに注意すべきこと
それでは、医学部の後期試験を受験する際に注意すべきことを二つ挙げて、締めとさせていただきます。
(1)ネット上の不確実な情報に振り回されない
まずは、ネットの情報を鵜呑みにしないということ。
この記事を含めて、ウェブ上の記事や雑誌には事実とは異なる情報や、最新ではない古い情報が書かれていることがあります。
したがって、本当に大事な情報を集めたいという時には、大学の公式ホームページや、大学に直接問い合わせることによって情報を得ることをおすすめします。
しっかりとした根拠のある情報を持って、後期試験の情報を整理し、受験するか否か含めて検討していくのがベストでしょう。
(2)情報力を持った医学部専門予備校に相談しよう
また、最終手段として、医学部専門予備校に頼るという選択肢も頭の中に入れておくとよいでしょう。
医学部専門予備校には、多くの現役医学生がチューターとして所属していたりする上に、医学部受験情報に精通した沢山のプロフェッショナルが所属しています。
したがって、最新の受験情報から後期試験の正しい志望校選び、さらには細かな試験への対策法まで幅広く教えてもらうことができます。
ぜひ、困ったときは医学部専門予備校をうまく活用してみて下さい。
まとめ
ここまで、医学部受験における後期試験の難しさとその対策法をご紹介してきました。
医学部受験は非常に難易度の高い挑戦になるとは思いますが、この記事を読まれた皆さんが無事に突破されることを心からお祈りしております。