医学部受験は受験の中でも最難関と言われています。そんな最難関の医学部入試を突破するには、いつ頃にどんな勉強をしたら良いのでしょうか?また、予備校は必要になるのでしょうか?
この記事では、そんな医学部入試に向けた勉強をする時期や対策・予備校に通うべきかどうかを解説しています。
医学部入試が難しいと言われている理由
- 当たり前を100%にしなくてはいけない
- 記述試験だから
(1)当たり前を100%にしなくてはいけない
医学部入試は「当たり前に解ける問題」は100%解かなければなりません。また、その「当たり前に解ける問題」の基準が高く設定されています。
基礎・標準問題は100点をとって当たり前で、合否を分けるのは+αの発展問題だからです。
(2)記述試験だから
国立・私立に限らず、医学部入試では記述試験の問題が多く出題されます。答えだけ適当に出せば良いのではなく、「文字を置いたらしっかり定義する」のような記述力が試されます。
あらかじめその公式や現象がどのようなものか記述されていますが、初めてみる問題テーマが出題されることもあり、問題処理能力を求められます。
医学部入試の受験科目とは
医学部入試の受験科目は以下のように国立と私立でかわります。
国立大学:一般試験+センター試験
私立大学:一般試験
国立大学、私立大学に共通して課される医学部入試の一般試験は
- 「英語」
- 「数学(ⅠA・ⅡB・Ⅲ)」
- 「理科(物理・化学・生物のうち2科目)」
- 「面接」
の4科目試験を実施している大学がほとんどです。
大学によっては、「理科」が3科目必須や「小論文」が課せられる大学もあります。
医学部入試の試験問題は広い範囲から深く出題されるうえに、国立大学は一般試験の他にセンター試験の点数も付け加えられ、課せられるセンター試験は国立他学部と同じで5教科7科目です。
国語、社会の文系科目も含まれていて、最低でも80%以上取らなくてはいけません。
私立と国立医学部の入試問題の違いは?
一般的に私立医学部の方が国立医学部よりも入試問題は難しくなっています。全体的に時間が足りなく、応用問題が中心に出題されます。
一方で、国立大学は標準問題が多く、当たり前に100%解かなくてはならない問題が多数出題されます。
小論文や面接の医学部入試対策
小論文と面接は他の受験科目に比べ、軽視されがちです。しかし、意味のない試験を実施する大学はありません。他の科目同様本気で取り組みましょう。
小論文と面接に共通して言えることは、【最新のニュースをこまめにチェックしておこう】です。
医学部受験の入試だからと言って、医療に関することだけが問われるわけではありません。医療は経済や政治とも密接に関わっていて、決して独立した存在ではないのです。
(1)小論文対策
必ず添削をしてもらいましょう。学校や予備校では小論文添削をしてもらえます。
小論文の正解はひとつではないため、回答と照らしあわても自分では正解か不正解かわからないところがあります。
また、間違った言葉使いで覚えていて、自分では気がつかない箇所もあり、他人に見てもらうことが必要です。積極的に利用することをオススメします。
(2)面接対策
ポイントは三つあります。
- 受験校だけの特徴を押さえておく
- オリジナリティーを出す
- わからないことはわからない
①受験校だけの特徴を押さえておく
志望理由は様々だと思います。しかし、【絶対にあなた方のこの大学ではないとだめ】という確固たる意志を伝えましょう。第一志望ではなかったとしても、第一志望だったとはっきり伝えてください。
②オリジナリティーを出す
試験監督は1日に何十人もの受験生と面接をしています。他の受験者が言いそうなありきたりな言葉は聞き飽きています。インパクトの強いオリジナリティーを出すことで試験監督に印象付けをすることが大切です。
③わからないことはわからない
わからないことはわからないと、はっきり伝えるべきです。試験監督はプロです。わからない問題を適当に嘘をつきごまかしても、学生のつたない知識では到底敵いません。「わかってないな?」と思うと余計深掘りしてくる大学もあります。
入試対策はいつ頃からすればいい?
センター試験のみで使う科目と一般試験で使う科目では入試対策時期が異なります。
(1)センター試験のみで使う科目
①国語
国語はセンター試験でしか使いません。8月までに基礎を固め、9月からセンター試験の問題を解いて、入試対策をするのが一般的です。毎日1題ずつ30~40分ほど勉強することをオススメします。
②社会
社会はセンター試験でしか使いません。高校によっては秋まで全範囲が終わらない科目もあります。自主学習であまり多くの時間を社会には割くことはできないので、授業で習ったことはその場で覚えるように努力しましょう。
(2)一般試験で課せられる科目
「英語」・「数学(ⅠA・ⅡB・Ⅲ)」・「理科(物理・化学・生物のうち2科目)」
8月までに基礎を全て終わらせ、9月から実践問題に入らなければ間に合いません。8月までに基礎を全て終わらせてください。
現役は数Ⅲ、理科がまだ全範囲終わっていないと思います。最低限、習った範囲の基礎は全て復習し、100%になるまで繰り返してください。余裕がある人はできるだけ予習しましょう。
9月からは実践問題に入ります。国立大学は標準問題が多く出ますが、その「標準」が高いです。標準問題は3周ほどして、実践経験を積んでください。
12月からはセンター試験の練習と併用して赤本を解いていきます。割合は赤本:センター試験=7:3です。センター試験は形式に慣れる必要があるので、主に時間を計りながら、ペース配分の練習をします。
よくセンター試験の練習を本気でする人がいますが、それは国語と社会だけです。センター試験は形式が特殊なだけで内容は難しくありません。センター試験の練習はあくまで形式に慣れるだけで、赤本を解いて志望大学の問題傾向に慣れる練習をするべきです。
医学部入試対策は予備校に通うべき?
予備校は通うことをオススメします。超進学校は周りに医学部受験がたくさんいるので学校で対策をしてくれます。超進学校では、いらないかもしれません。
もし、あなたが超進学校に在籍していない、浪人生であるなら通うことをオススメします。予備校に通わずに、自力で受かる人は稀です。
医学部入試は記述試験がほとんどなので、予備校はその対策をしてくれます。解法を何通りも示し、一番早い解き方や考え方、記述の仕方を教えてくれます。
市販されている問題集は回答が雑だったり、抜けていたりしていると思ったことはありませんか?「ニュアンスはあっているけれど、本当にこの回答で良いのかな?」と思ったことはひとつひとつ全て潰していかなければなりません。
医学部専門予備校は費用が高い!
他の一般的な予備校に比べて、医学部専門予備校は費用が高く設定されています。大手予備校の医学部コースは、医学部専門予備校よりは低い学費になっていますが、1:多の授業形態です。
それに比べ、医学部専門予備校の費用は高いですが、生徒一人一人にあったカリキュラムが用意され、1:少数の授業形態です。より特化した手厚い対策をとってくれ、1年間面倒をみてもらえます。
注意しなくてはならないことは、予備校によって、年間の授業料とは別に講習期の授業料や合宿費を払わなければならないところもあります。
予備校の入試対策時期はいつから?
夏期講習後から行われます。夏まで予備校に通っていなかった人はどんなに遅くても9月までには入会しないと、授業についていけなくなる可能性があります。
勉強を身につけるコツは「その日に学んだことはその日のうちに消化する」です。
医学部のAO入試・推薦入試ってどんな感じ?
この2つは推薦形式が違うだけで内容はほとんど一緒です。どちらも評定が高くなければならないので、高校3年間で常に良い成績を収めなければなりません。ほとんどの大学が学習成績概評A(4.3~5)を出願条件としています。
出願条件を合格した後に、独自の試験や面接、小論文が課せられ、その上、センター試験を受けなければならない大学もあります。課せられるセンター試験のボーダーは全体で「9割」が多く、センター試験の配点の内訳が特殊な大学もあります。
AO入試や推薦入試は医師免許取得後に、その大学がある都道府県や出身地で医師をする約束させられることがあります。お金を払えば、その約束を破棄することもできます。
現役が浪人生に勝つための入試対策
現役と浪人生の差は「理科系の科目」です。浪人生と現役生の英語と数学の差は大きくありません。
1年生から英語、数学には触れていて、学習時間が長いため定着度が高いのですが、理科は初めての考え方や言葉が多いため、慣れるまでに時間がかかります。
また、理科は教科書の範囲が12月ギリギリまで終わらない学校もあり、圧倒的に演習量が足りません。現役が浪人生に勝つためには、理科の差を可能な限り埋める必要があります。
医学部に受かる人と落ちる人の特徴
受かる人は謙虚な人。
落ちる人は傲慢な人。
素直で学ぶ姿勢がある人は受かります。正しいことを真似でき、常に学ぼうとしています。
一方で、傲慢な人は落ちます。自分は「できる」と自信を持つことはいいことですが、思い上がってはいけません。根拠のない「できる」はやめましょう。
再受験・一発逆転に必要なこと
【絶対に医師になる】という気持ちです。マイナスからのスタートであることは承知していると思います。
勉強は日々の積み重ねで、医学部入試は付け焼刃では、到底太刀打ちできません。1年間で合格する人も中にはいますが、数年かかってしまう覚悟はしておくべきです。
もし医学部入試に失敗してしまったら?
まずは自分と向き合いましょう。本当に「医師になりたいのか」を考えてみてください。もし、本当に医師になりたいのであれば、自分にあった予備校を探しましょう。
予備校選びで大事なことは「自分にあった予備校を見つけること」です。1年間継続して、勉強をしなければなりません。居心地の悪いところでは、続きません。
予備校はあなたの人生の分岐点を決めるための準備をする場所です。よく考えてから進んでください。