同じ医学部でも国立と私立ではここまて

同じ医学部でも国立と私立ではここまで違う?国立と私立の特徴・難易度の違いを徹底解説!

医学部を志す受験生にとって、国立の医学部を目指すか、私立の医学部を目指すかといった選択は非常に重要なものになります。

この重要な選択を行うためには、まず国立医学部と私立医学部の違いをきちんと把握しておくことが重要。

ここでは、国立医学部と私立医学部の違いについて詳しく解説していきます。

1.国立医学部の特徴・難易度

まずこの章では、国立医学部の特徴や難易度について解説していきます。

1)入試の方法

国立医学部に入学するためには、4つの方法があります。

ここではその4つの入学方法について解説していきます。

①大学入学共通テストを利用する入試方法

国立の医学部の入試の方法には、大学入学共通テスト(通称:共通テスト)を受け、その後各大学が実施する二次試験を受験する必要があります。

大学入学共通テストは、2021年度から実施される2020年度まで実施されてきた「大学入試センター試験」の後継となる試験です。

この大学入学共通テストの教科は、国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の6教科です。

この6教科がさらに30科目に分かれており、2020年度まで行われていた大学入試センター試験と大きく配点が異なってきます。

大学入学共通テストと従来までの大学入試センター試験に共通して言えることは、苦手強化や科目を作らず、まんべんなく学力をつけて全ての教科で高い点数を取る必要があるという点です。

医学部を受験する学生は理系の勉強をしてきた人がほとんどですが、文系の教科でも高得点を取る必要があるため受験生の負担は大きくなります。

大学入学共通テストの後に各大学で行われる二次試験がありますが、この試験の内容は各大学により異なるため、過去問題を研究して傾向を掴んでおく必要があります。

AO入試を利用する方法

最近よく耳にするようになってきたAO入試とは、国立医学部で実施されている大学もあり、偏差値や学力重視ではなく、主に書類審査で合否が決定されます。

このAO入試は大学ごとに呼び名が異なり、自己推薦入試や公募推薦入試、一芸入試などと呼ばれています。

試験方法は「人物重視タイプ」「学力選考タイプ」に大きく分けられ、「人物重視型」はエントリー後に数回の面接で合否が決まる「対話型」と、学力や資格、課外活動などの実績で自分をアピールする「自己アピール型」があります。

一方「学力選考タイプ」の場合は、エントリーシートによる書類選考とそれに基づき行う面接を重視するタイプと、学力試験を重視するタイプがあります。

エントリーシートには、志望動機やその大学で学びたいこと、将来どのような医師になりどのような医療に携わりたいかなど具体的な内容を問われることが多いため、相応の準備が必要です。

学力については、入学時に学力試験が行われることが無いケースがほとんどですが、高校時代の成績や小論文の作成以外に、過去に受けた英語検定やTOEICなど、理科と数学以外の科目から、語学力や論理的思考の有無が評価されます。

偏差値や学力といった条件に関係なく、どのような人でも希望すれば受験できる点がAO入試のメリットなのです。

しかし、受験勉強を経験しないため基礎学力を身につける機会を失ってしまうといったデメリットもあります。

③推薦入試

国立医学部の推薦入試には、大学ごとに独自の基準が定められていますが、一番重視されるのは高校時代の内申点です。

それ以外に大学入学共通テストの受験や、高校時代にどのような科目を履修しているか、現役受験生か浪人生か、などの大学ごとに定められた条件を満たしていないと受験できません。

志望する大学の推薦入試に挑戦する基準を満たして、初めて推薦入試の試験を受けることが可能です。しかし、その試験内容も大学ごとに異なり、課題論文や面接といった内容をクリアする必要があります。

また、その大学がある自治体に居住しているかどうかといった基準が求められることもあります。

④編入

医学部編入試験制度を導入している大学は、圧倒的に国立医学部が多くなっています。

他学部から医学部へ編入することで、医学部で学び医師になることも可能です。

この場合は編入試験を受ける必要がありますが、この編入試験を受けるためには最低でも大学二年以上または短大以上の学歴がある必要があります。

しかし、ほとんどの大学では学士取得者を対象としています。この学位には文系・理系の区別がないため、文系学部の出身者でも医学部に編入することは不可能ではありません。

試験の内容は小論文や面接、英語、生命科学、物理化学、プレゼンテーション面接など、大学により異なります。

また、学士編入には年齢制限がないため、大学卒業から時間が経っている人でも受験できます。

2)偏差値

国立医学部の偏差値は非常に高くなっています。

2020年度のデータでは、上位10位までのうち国立医学部が8校を占め、一位は東京大学医学部。私立は3位の慶應義塾大学1校のみでした。

残る1校は10位に公立の大阪市立大学がランクインしています。

このトップ10に入る医学部の偏差値は、最低でも70以上となっています。

3)倍率

国立医学部は偏差値の高さと反比例して、倍率は低くなっています。国立医学部の倍率が低い理由は2つあります。

まず1つ目は、従来までの大学入試センター試験の自己採点結果を見て自分のおおよその合格ラインの大学を決めるためです。

2020年度から大学入試センター試験が大学入学共通テストに替わりますが、この傾向が変わることはないと考えられています。

もう1つの理由は国立医学部が前期試験と後期試験の一回ずつ、計2校しか受験できないためです。

この2つの理由から、国立医学部の倍率は低くなっています。

4)難易度

国立医学部の難易度は、非常に高くなっています。

従来までの大学入学センター試験の後継で、2020年度から始まる大学入学共通テストを受ける必要があり、必然的に試験範囲が広くなってしまうためです。

また、この試験の後に行われる二次試験に関しても高得点を取る必要があります。

この各大学で個別に行われる二次試験においては、記述式の問題があるため受験生の能力がダイレクトに得点に反映されます。

そのため、論理力や文章力をしっかりと身につけておくことが重要。二次試験は合否のほとんどが前期試験にかかっているため、後期試験は非常に狭き門となっています。

5)学費

国立医学部の学費は基本的に全国一律で535,800円(2019年度入学者)と非常に安価になっています。

しかし、千葉大学では年間642,960円です。この流れは全国の国立医学部に及ぶため、今後は全国一律ではなくなります。

入学費に関しては、入学生がその自治体に住んでいるかどうかによって値段が変わる大学が多くなっています。

2.私立医学部の特徴・難易度

ここからは、私立医学部の特徴と難易度について解説していきます。

1)入試の方法

私立大学の入試の方法は、5つあります。ここでは、その5つの入試方法について解説していきます。

①一般選抜

私立医学部の一般選抜の場合、大学入学共通テストの受検は必要ありません。そのため、受験生の負担が少ないと言えるでしょう。

しかし、出題傾向が志望する大学により大きく異なるためその大学の出題傾向にあった受験勉強を行う必要があります。

科目は英語、数学、理科の3科目に小論文と面接があるのが一般的です。この3科目の基礎学力をしっかりと身につけること以外に、小論文と面接についても十分な対策を取ることが重要です。

大学によっては、国語など上記以外の科目の試験を行うこともあります。

②大学入学共通テスト利用入試

私立医学部であっても、大学入学共通テストの受検が必要な大学もあります。

このような大学では、大学入学共通テストを一次試験の代わりとしているため、各大学で実施される独自試験を受験する必要はありません。

このような入試方法を採用している医学部に合格するために、大学入学共通テストでも高得点を取る必要があるのは、国立医学部と同じです。

この大学入学共通テスト利用方式を採用している私立医学部に合格するためのボーダーラインは、90%以上の得点率が必要になります。

そのため、各教科をまんべんなく勉強する必要があり、受験生にかかる負担は大きいです。

AO入試

2020年度にAO入試を実施する私立医学部は6校となっており、非常に少ないのが特徴です。

一般的に「基礎学力試験」と「適性検査」という名称で、学科試験が課され、その後面接と小論文が行われます。これらの評価を総合して合否が決まることが一般的です。

教科としては英語と数学が中心ですが、理科が2科目課される大学もあります。

このようにAO入試は選考方法が大学ごとに異なるため、志望する大学の選考方法をよく把握しておくようにしましょう。

④推薦入試

私立医学部の推薦入試は、各大学が定めた基準をクリアした人のみ受験できる入試です。

原則として専願であるため、合格したら必ず入学する必要があります。

推薦入試を利用する場合には、国立医学部の場合と同様に高校時代の内申点が非常に重要になってきます。

それ以外に、推薦入試であっても学科試験が課される大学も多いため、当然受験勉強も必要となります。

教科は一般入試と同じく英語、数学、理科に小論文と面接が行われる大学が多いのですが、それ以外にも適性検査や自然科学といった独自の選抜方法を取っている大学もあります。

志望する大学の出題傾向をきちんと把握してから対策しておくことが重要です。

⑤編入試験

私立医学部で編入試験を実施している大学は、2019年度ではわずか3校と、非常に少なくなっています。

その選考内容は英語や数学、理科などの学科試験に加えて、適性検査や小論文などで、大学により異なります。

さらに2次試験では健康診断や面接などが行われ、2年次または3年次に編入できます。

2)偏差値

私立医学部の偏差値は、医学部の中では低い傾向があります。

2019年に作成された医学部偏差値ランキングによると、トップ10に入る私立医学部は慶應義塾大学のみとなっています。

私立大学の偏差値が低い理由は、その学費の高さにあります。国立医学部の学費と比較すると、私立医学部の学費はまさに桁違いと言っても過言ではありません。

そのため偏差値の高い受験生は国立医学部を志望する人が多く、必然的に私立医学部には偏差値の低い学生が集まるといった傾向があります。

3)倍率

私立医学部の倍率は、国立医学部に比べて非常に高くなります。

これは入試日時が重ならない限りは、一人で何校も受験できるためです。

また、大学入学共通テストの受検が必須な国立医学部に比べて勉強の負担が少ない一般入試を行っている私立医大に人気があるという点も、倍率が高くなる理由の一つです。

4)難易度

私立医学部の難易度は、低くなっています。

その理由は一般入試においては英語・数学・理科の3教科に絞って深く細かく理解しておけば、合格しやすい傾向があるためです。

しかし、大学により試験の内容の傾向が異なるため、各大学の出題傾向を研究し対策を講じておく必要があります。

5)学費

私立医大の学費は、非常に高額です。

一年間の学費は大学によって異なり、200万円台の大学もあれば、1,000万円を超える大学もあります。

一般的な傾向としては、私立医大の中でも偏差値が高い大学は授業料が安く、偏差値が低い大学ほど授業料が高くなっています。

まとめ

ここまで、国立医学部と私立医学部の特徴と難易度について解説してきました。

一般的に国立医学部は難易度が高く、私立医学部は難易度が低いことと、それぞれの医学部の特徴についてお分かりいただけたと思います。

このような両者の違いをしっかりと把握してから、志望する医学部を決めるようにしましょう。

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