奨学金制度

医学部・奨学金制度を徹底解説【どういう人向けかも提示】

医学部受験の難易度が近年高止まりする中、医学部の学費も非常に高いということが知られています。

例えば、国公立は6年間で349万円程度私立となると上は4000万円以上から1800万円まで高めの学費設定となっています。

もちろん、これに生活費などもかかるわけですから、医学部を卒業しようと思えば多額の資金が必要となることは言うまでもありません。

今回は、そんな現状の医学部事情を鑑みて、医学部入学後の金銭の悩みを解決する一つの方法、「奨学金」について徹底的に解説していきます。

1.医学部における奨学金の種類

まずは、医学部入学後にどんな奨学金を利用できるのかを押さえておきましょう。

大きく分けると3種類の奨学金制度があり、どれも「医学部で学びたいが金銭面での不安が残る」、もしくは「金銭面での負担を少しでも減らしたい」という場合に非常に役立ちます。

その3種類の制度というのが具体的に以下になります。

  1. 日本学生支援機構による奨学金
  2. 在学、勤務地域における奨学金(地域枠)
  3. 在学先の大学が独自に設ける奨学金

以上3種類ですが、全て解説していきますね。

(1)日本学生支援機構による奨学金

まずは、日本学生支援機構による奨学金になります。

日本学生支援機構とは、「学生に対する支援」「高等教育機関に対する支援」を目的として設立された機構であり、主に金銭面で国内の学生をサポートしている組織になります。

この機構から貸与される奨学金に関しては、大学など所属の機関に関係なく一定の基準を満たせば、受け取ることができるようになっています。

日本学生支援機構が行っている貸与型の奨学金には以下2種類があり、それぞれに特徴があります。

  1. 第一種
  2. 第二種

それぞれ詳しく解説していきます。

①第一種

第一種奨学金は、永久的に無利子・貸与型の奨学金で、“特に優れた学生及び生徒で経済的理由により著しく修学困難な人に貸与します。”と規定があります。

つまり、「非常に学業的に優れている」ということと、「経済的に著しく困窮」しているということが貸与の条件になってきます。

医学部に通う上で、非常に金銭的に困る可能性があるという場合は利用できる可能性が高いです。

貸与額に関しては、“学校種別(大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程))、設置者(国立・公立・私立)、入学年度、通学形態(自宅通学・自宅外通学)によって定められた貸与月額のいずれかを選択”となっており、「どこの大学に所属しているか」によってある程度定められており、一定ではありません。

返還に関しては定額式、所得連動式と二種類があり、希望に合わせて決めることができます。

②第二種

第二種奨学金は、在学中に無利子ではありますが、卒業後から年で3%限度額の利子がつくようになる、利子あり・貸与型の奨学金です。

なお、貸与の選考に関しては、“第一種奨学金よりゆるやかな基準によって選考された人に貸与します。“と規定されており、第一種を貸与されなかった場合に支給される可能性がある奨学金となっております。

また、貸与額は“大学院においては5種類の貸与月額から、大学・短期大学・高等専門学校(4・5年生)・専修学校(専門課程)においては11種類の貸与月額から、それぞれ自由に選択できます。”となっており、予め規定された中からの選択制になっています。

③第一種と第二種の違いは?

この二つの奨学金制度の大きな違いは、「利子が発生するかしないか」の違いになります。

第一種は卒業後の年数に関わらず、貸与された額全額を返還すれば良いですが、第二種では年額3%という決して馬鹿にできない金額の利子を含めて返還する必要性があります。

金銭面で進学、通学に不安は残るが成績面での条件を満たせない場合に第二種、金銭面、成績面での条件をクリアした場合には第一種を選択することになるでしょう。

(2)在学、勤務地域における奨学金(地域枠)

次に医学部進学の上で利用可能な奨学金が「地域枠」という名の奨学金制度になります。

簡単に言えば、「特定地域での就業を確約」したうえで、給付もしくは貸与される昇格金制度になります。

例えば、東北医科薬科大学などが良い例です。

  • 6年間の本来の学費:3410万円
  • 東北地域医療支援修学資金(宮城県)利用時:6年間で3000万円の貸与
  • なお、宮城県知事が指定する医療機関などに10年間(初期研修は含まない)勤務した場合に、返還が免除される(実質的に給付型)。

上記例では、10年間の縛り付ではありますが、6年間で3000万円の奨学金を得ることができるようになっています。

この場合、6年間でかかる学費は実質500万円程度となり、私立大学であるにもかかわらず、国公立大学並みの学費で医学部を卒業できるということになります。

もう一つ、国公立大学の例を挙げておきます。

  • 大分大学医学部地域枠
  • 6年間の学費:349万円
  • 就学支援金月額5万円を貸与されれば、6年間最大360万円の受け取りが可能
  • ただし、受給期間の2分の3以上の期間、大分県知事が定める医療機関で働くことが義務付けられる。

以上のように、各大学は地域枠を設け、所在の都道府県と連携して奨学金を支給しています。

なお、地域枠については毎年のように基準や奨学金の内容が変更されるために、詳しくは各大学のホームページをご覧になることをお勧めします。

(3)在学先の大学が独自に設ける奨学金

最後に、在学先の大学が独自に奨学金制度を設ける場合です。

例えば、慶應義塾大学では「慶應義塾大学給費奨学金」という名目で、年間50万円、または25万円の給付型奨学金を受けることができます。ただし、310人程度とかなり少ない枠であり、非常に難易度の高い奨学金です。

他にも、各大学が独自の基金を設けてその枠から奨学金を貸与、給付している場合がありますので、志望校に当該の制度があるかどうかは大学に直接聞くか、ホームページをご覧ください。

2.どういう場合に奨学金を利用するのが良いか?

これだけたくさんの奨学金制度があると、どういった基準で奨学金を利用すればよいのか分からなくなるかもしれません。

実際には以下3つの複合的な要因がある場合に利用するのが良いでしょう。

  1. 成績が非常に良好であるが家計的に難しい場合
  2. 成績に関係なく、家計的に苦しい場合
  3. 地域で医療行為、学習を行う希望がある場合

それぞれ解説していきます。

(1)成績が非常に良好であるが家計的に難しい場合

まずは、奨学金の本来の目的である、「学力が高く、困窮している」場合。

この場合は、どんな奨学金であっても高率で利用できるため、真っ先に検討すべきでしょう。

(2)成績に関係なく、家計的に苦しい場合

次に、成績は全く関係ないが家計的に医学部に継続的に通い修学するのが困難な場合です。

例えば、年度途中で不慮の事故で家計に致命的な傷を負ったなどの、突発的な困窮の場合でも奨学金を利用する適切なタイミングとなるでしょう。

(3)地域で医療行為、学習を行う希望がある場合

最後に、医学部に入るうえで一番検討しやすい奨学金制度である、「地域枠」を利用する場合です。

これは、地域枠で入学した場合に半強制的に受給させられるものではありますが、自身が出身の都道府県で、その地域で将来にわたって医療に貢献したいという場合には非常に良い選択肢になるでしょう。

特に、自身が就業したい場所がへき地や、医療不足の地域などであれば、なおのこと地域枠を利用するメリットが大きいと言えるでしょう。

家計の負担を減らし、将来の夢をも実現できる非常に良い奨学金の利用方法であると考えられます。

3.奨学金の活用方法は人それぞれ

ここまで、どのような場合に奨学金を活用すべきか、ということと、奨学金の種類に関して詳しく解説してきました。

ただし、やはり奨学金の活用方法は人それぞれであり、家庭の事情によってもかなり異なってきます。

では、奨学金の利用に迷った場合や、制度に疑問を持った場合はどうすればいいのでしょうか?

(1)迷ったら入学先の大学に聞くべし

まずは、自身が入学予定の大学の学務課や学事課に直接聞くのが良いでしょう。

ホームページ上ではまだ公開されていない情報を聞く事も可能ですし、何より細かい制度の説明は対面でのほうが理解しやすいです。

(2)奨学金機構に直接聞くのもアリ

先ほど紹介した日本学生支援機構に直接問い合わせることも可能です。

無論、大抵の情報に関しては機構のホームページに掲載されているため、この記事で理解できないことがある、もっと詳しく各種奨学金の制度を知りたいという場合は直接聞くのもありかもしれません。

参考:https://www.jasso.go.jp/index.html

(3)入学前であれば所属する医学部専門予備校に聞くのがベスト

もしも、この記事で全てを理解できなかった、または医学部だけに特化した奨学金の説明を詳しく受けたいという場合は、医学部専門予備校に行かれることをおすすめします。

その理由としては、医学部入学に関するノウハウをたくさん持っている、実際の医学部在籍者から情報を仕入れられるなど多数ありますが、やはり医学部に関するプロフェッショナルであるというのが大きいです。

豊富な知識を持った専門スタッフが熱心に相談に乗ってくれるはずです。奨学金の相談ついでに、学業の相談や受験に関する心配事も解決できる可能性が高いですね。

情報が多すぎてまよってしまうという場合は、ぜひ一度行かれることをおすすめします。

まとめ

この記事では「医学部の奨学金」について解説してきました。

金銭的な問題で自分の夢をあきらめるというのは一番やりたくない選択ですよね。

そういう方のために、世間には沢山の学生支援の仕組みが存在し、目に見えて支援してくれるのが奨学金制度です。

しっかりと勉強に集中して学業に打ち込めるように、奨学金の情報もより深く、たくさん知っておきましょう。

この記事を読まれた皆さんが、しっかりと志望する大学に合格し、無事に学業生活を送られることをお祈りしております。

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