社会人が医学部合格を勝ち取るために、知っておきたいこと!

社会人が医学部合格を勝ち取るために、知っておきたいこと!

大学を卒業して、社会人になって、いろいろな社会経験を積む中で、「医学の道に進みたい」と考えるようになった方もおられるでしょう。

あるいは、現役のころ、いったんあきらめた医者になる夢を断ちがたく、再びのチャレンジを思い立った方もおられることでしょう。

社会人になってから、医学部を目指そうという方には、人それぞれの思いがおありです。ただ、医学部合格というのは、至難の業であることは間違いありません。

しかし、社会人が医学部を目指す場合、社会人としての社会経験が生かせたり、大学卒業で得た学士という資格が生かせたりします。

この記事では、社会人が医学部を受験する場合のルートの種類や、それぞれのメリット・デメリットをご説明しますので、あなたの受験対策にぜひ、お役立てください。

1.社会人の医学部受験は増えているか?

医学部受験、そして合格というのは、難易度の面でも、かかる費用の面でも、だれでもがかなうことではありません。

しかし、「医師の社会的使命」や「崇高な医学の道」などという大きな理想が、人をインスパイアし続けることも事実です。

「良医育成のため、大学を卒業し、社会経験を積んだ人材を、積極的に医学部に編入させること」という文科省の通達が、全国の国立大学医学部に出された結果、多くの大学で編入試験が行われるようになりました。

大学によって、「地域医療に貢献する人材を求めたい」とか、「基礎研究をする医師の養成」など、求めることに違いがあっても、豊かな社会経験に基づく、医師への確固とした目的意識を持った多様な人材を求めたいというニーズは共通です。

さらに、医師になるためには、必ず、医学部を出る必要があるので、これからもますます、社会人による医学部受験は増えることでしょう。

社会人で医学部を目指すということは、こうした国や大学のニーズと、4年制大学を卒業し、社会経験を積んだ、ある程度年齢を重ねた社会人で医学部を目指す人たちとの思いとが、うまくマッチしたものだと言えます。

社会人として、医学部を目指す場合、この後の項でも説明しますように、いろいろなルートが考えられますが、学士編入試験は、選択肢の一つとして考えることができるでしょう。

また、一般編入試験や一般入試というルートもありますから、あなた自身にピッタリの方法を選択すれば、医学部合格という夢は、さらに近づくことでしょう。

2.社会人が、医学部を受験する場合の3つのルート

社会人が、医学部を受験するには、学士編入試験、一般編入試験、一般入試を受けるルートがあります。

それぞれのメリット・デメリットをご説明しますので、あなたにふさわしいルートはどれかを、探してみてください。

(1)学士編入試験

①メリット

学士編入試験とは、「医学部以外の他学部で、医学以外の学問を専攻し、明確な目的意識を有する学士(または、見込みを含む)を医学部2年次、または3年次に編入させる」制度です。

国公立大学、私立大学をあわせて、全国で35校の大学が、学士編入試験を実施しており、大半の大学では、2年次編入です。一部の大学で、2年次後期編入(滋賀医科大学)や、3年次編入(名古屋大学)などもあります。

一般入試に比べて、学士編入試験の学科試験の科目数が少ない点も、大きなメリットと言えるでしょう。

多くの大学では、英語と生命科学だけ、そこに物理化学や数学がプラスされる大学もあります。そして、2次試験では面接があり、一部の大学では集団討論やプレゼン面接などを課す大学もあります。

いずれにせよ、受験科目が少ないということは、受験勉強からブランクがある社会人にとってはうれしいポイントです。

また、各大学の試験の時期が、5~6月、7~8月、9月以降とバラバラなため、複数の大学を受験することが可能です。

②デメリット

学士編入試験の多くのメリットを見てきましたが、デメリットについてもご説明しましょう。

一番のデメリットは、各大学の募集人員の絶対数の少なさです。募集人員が、5~20名というところが多いですが、5名という大学が圧倒的です。

中には、旭川医科大学のように、募集人員が10名のうち、地域枠5名を含むという大学もあります。地域枠では、卒業後、その地域の医療に貢献することを入学時に誓約する必要があります。

また、募集人員が少ないことに加えて、各大学の試験の時期がバラバラなので、複数の大学を受験することが可能で、多くの受験生が志願するため、競争倍率が非常に高くなります。

年度によっても変動がありますが、だいたい20~30倍ぐらいです。中には、50倍を超す大学もありますから、前年度の実績などをチェックしておく必要があります。

学士編入試験は、5月ごろから始まり、10月にはすべてが終わります。チャレンジする場合には、各大学の入試情報を早めに入手しておくことが大切。「先手必勝」です!

(2)一般編入試験

①メリット

医学部の学士編入試験の場合は、医学部以外の学部を卒業(見込みを含む)した学士が受けられる試験でした。

一般編入試験とは、「4年制以上の大学に2年以上在学し62単位以上を取得した者、短期大学や高等専門学校を卒業した者、専修学校のうち、文科省の基準を満たすものを修了した者」が受験できる試験です。

大学(短大や高専)に入学後、医学部に入りたい、医学部で勉強したいと進路変更する場合に選択できるルートです。

一般入試などに比べると、受験科目が少ない点が大きなメリットといえるでしょう。

②デメリット

文科省の通達を受けて、学士編入試験が多くの大学で行われるようになりましたが、一般編入試験が実施されている大学は、非常に少ないのが実情です。

国立大学では、群馬大学、筑波大学、大分大学。私立大学では、東海大学だけなので、選択の幅が限られたものとなります。また、募集人員が少ない点も、大きなデメリットです。

3)一般入試

①メリット

一般入試は、現役生や浪人生と一緒に受ける入学試験です。

日本全国に、医学部のある大学は82校ありますから、難易度や住んでいる場所などに合わせて選択の幅が広がります。

また、それぞれの大学の特徴などをよく考えて、自分が進みたい方向性に合致する大学、理想とする教授がいる大学などを、幅広い選択肢の中から選ぶことができます。

各大学の難易度や競争倍率、過去問などの入試情報が豊富にあることも心強いと言えるでしょう。

競争率が高い医学部とは言え、学士編入試験の競争率に比べると、低いと言えるでしょう。

②デメリット

医学部の一般入試では、現役生や浪人生と一緒に受験するわけですが、社会人の場合は受験勉強のブランクがあるうえ、受験科目が多い点も不安です。

難易度の高い医学部入試ですから、受験勉強だけをしている浪人生などに比べると仕事をしながら受験に臨む場合は、勉強時間の確保などで、とても不利です。

さらに、一般入試の場合、あからさまな年齢差別はないにせよ、年齢が高いのは、やはり不利になると言えるでしょう。

30代になると、合格率が下がることは、覚悟しておきましょう。

特に国公立大学の場合、一人の医師を育成するために多額の税金が使われるわけですから、できるだけ医師として長くキャリアを積んでほしいと大学側が考えるのは、無理からぬことと言えるでしょう。

また、国公立大学の場合、受験機会が、1,2回に限定されてしまう点も考慮に入れておきましょう。学士編入試験の場合、一人平均5校を受験することに比べると、受験機会がとても少ないと言えるでしょう。

3.社会人が、医学部受験するとき、どのルートが有利か?

社会人が、医学部を受験する方法として、3つの方法があることを前章でご説明しました。

それぞれにメリット・デメリットがありました。また、あなた自身の事情などにもよりますが、あえてどのルートが有利かを考えてみましょう。

もし、あなたが大学を卒業されているなら、なんといっても学士編入試験が有利と言えるでしょう。

高い倍率ゆえに敬遠される方もいますが、実質的な倍率は数字で表されている倍率よりぐんと下がるというのが受験者の実感です。なぜなら、複数受験ができるため志願者が多くなり競争倍率が跳ね上がります。

さらに、複数受験をしている人が多いため、合格しても辞退する方もいて補欠合格や繰り上げ合格の可能性も出てきます。受験科目が少ないうえに、今までのあなたの社会経験も生かすことができます。

大学を卒業されているのなら、学士編入試験を真剣に考えてみられるといいでしょう。

4.社会人だからこそ、受験に有利なこともある!

学士編入試験では基本的にどんな学部でも問題はありませんが、やはり有利となる学部や資格はあります。

歯科医師、薬剤師、獣医師、放射線技師、理学療法士、看護師など医療系の資格を持っている人は、全く畑違いな学部の人より、入試の際にも合格してからも、絶対的に有利だと言えるでしょう。

さらに、旧帝大の理系出身者や理系、歯学部、薬学部の修士、博士取得者なども有利といえます。

ただ、学士編入試験では、文系出身者に受験しやすい受験科目構成になっている大学もありますので、大学によっては、文系出身者の合格も期待できます。

まとめ

社会人が医学部を受験し、合格を目指すために知っておきたい情報をまとめました。

特に学士編入試験についてはページを費やして詳しくご説明しましたので、ぜひ参考になさってください。

社会経験があり、明確な目的意識を持った社会人を医学部は歓迎しています。

たしかに、一筋縄ではいかないチャレンジではありますが、ぜひ頑張ってあなたの夢や理想を実現させてください。そのためには、確かな情報を知ることから始めましょう。

一番上へスクロールするボタンを有効または無効にする