医学部入学を目指す受験生にとって、どの大学を志望校とするかは非常に重要な問題です。
自分の学力を客観的に見定めて、合格圏内の大学を志望校とすることが重要になり、高望みをし過ぎると医学部入試に失敗してしまう可能性が高くなってしまいます。
そのため、志望校は自分の学力や得意分野、勉強法や経済力などさまざまな要素を鑑みて決める必要があります。
ここでは、医学部への入学を希望する受験生が志望校を決める際に重要になる6つのポイントについて詳しく解説していきます。
1.学力を上げ志望校の選択肢を広げる
志望校を決める前にまずするべきことは、勉強です。
苦手科目をなくし、自分の学力を上げることで合格圏内の医学部の数が増えてきます。
受検が始まるかなり前の段階で志望校を決め、その大学についてリサーチを行ったり、オープンキャンパスに行ってみたりしても、合格率が上がるわけではありません。
そのようなことをしているより、その時間を勉強に充て自分の偏差値を上げることが重要になってきます。
勉強して自分の偏差値を十分に上げた時点で、初めて自分の合格できそうな大学をピックアップ。その中から自分が入学したいと思える大学を志望校とすることが重要です。
しかし、いつまでも勉強ばかりを続けて志望校を決めかねていては、志望校を決めた時点でその大学の入試に対する独自の対策を行う時間が少なくなり、結果として志望校へ入学できない恐れも出てきます。
とにかく勉強を続けて自分の学力を上げていき、入試の1年から半年前までには志望校を決めるようにしましょう。
それまでの期間は、とにかく勉強あるのみです。
2.志望校を決める時期によって志望校のランクが決まる
志望する医学部を決める時期によって、志望校のランクが決まります。
入試の1年前の時点で志望校を決める場合は2ランク上の大学を、半年前の時点で志望校を決める場合には1ランク上の大学を目標とします。
受験まで残された時間に応じて志望する大学を決めることで、勉強へのモチベーションを上げ、さらなる学力の向上を目指すことが非常に重要です。
半年につき1ランク自分の学力を上げることを目標として、受験勉強を行うようにしましょう。
この時には、実際に受験する大学に向けて自分の学力を1ランクまたは2ランク上げるために、どのような対策を行えばよいかといった点について具体的に考えておくことも大切です。
適切な自己分析を行い、決めた志望校のランクまで自分の学力を伸ばすことができるように努力しましょう。
3.第一志望校は慎重に決めるべき
第一志望校選びは、志望校を決めるうえで当然一番重要な要素です。
その理由は第一志望校に合格したいという思いが、その後の受験勉強へのモチベーションに直結してくるためです。
そのため、第一志望校のレベルは高すぎても低すぎてもいけません。
なぜなら、第一志望校のレベルが低すぎると安心してしまい受験勉強がおろそかになり、レベルが高すぎると自分の学力に行き詰まりを感じて、受験勉強へのモチベーションが保てなくなるためです。
そのため、前述したように入試までどれぐらいの期間が残されているかによって第一志望の大学を決めるようにしましょう。
入試まで残された期間が長ければ、まだまだ自分の学力の伸びしろに期待ができ、具体的な対策も立てやすくなります。
また、第一志望の大学を決める時点でその大学の情報を集めることも大切。具体的には、偏差値や志願倍率、配点ウエイトや合格最低ラインなどです。
国立大学を例にとって話をすると、大学入学共通テストと2次試験のどちらの配点が高いかといった点や、2次試験ではどの科目の配点が高いかといった具体的な情報を集めるなどです。
そうすることで、第一志望の大学合格に向けてどのような勉強をすればよいかという方向性が決まってきます。
私立大学の医学部においても、2科目必須の理科の配点が高い一般的な私立大学を受けるのか、それ以外の科目や小論文などに重いウエイトが置かれている大学を目指すのかを、自分の学力や得意分野によって選ぶ必要があります。
ただ単に偏差値や倍率によって第一志望校を選ぶのではなく、このような大学ごとの特徴をよく調べてから、自分が合格圏内を目指すことができる大学を第一位志望校とするようにしましょう。
そして、第一志望校を決めた後にはその大学の入試の傾向に応じた対策を取るようにしましょう。
4.第二志望校・第三志望校は二次試験の日時が重ならない大学を選ぶ
医学部に限らず大学受験を行う場合には、第二志望校と第三志望校を決めておくことが一般的です。
第二志望校と第三志望校を決める場合にまず調べておくべきことは、その入試の日程です。
第一志望校と合わせて3校受験することになった場合、これらの入試の日程が重ならない大学を選びましょう。
また、第一志望校から第三志望校の3校の中に国立大学を入れる場合には、2校までしか選択できない点に注意する必要があります。
その理由として国立大学は大学入試共通テストの成績と、前期または後期試験の総合成績で合否が決まりますが、どの国立大学も前期試験と後期試験の日程は同じ日になっているためです。
また後期試験は非常に狭き門となるため、なるべく前期試験を受ける大学を合格圏内の大学にしておいたほうが良いでしょう。
第二志望校と第三志望校のそれ以外の決め方の目安となるのは、第一志望と同じく自分が得意とする科目に配点ウエイトが高いという点ですが、それ以外に志望校のレベルも重要な要素です。
第二志望校と第三志望校のレベルは、1校は第一志望校よりややレベルが高い大学を、もう1校は合格安全圏内、いわゆる「滑り止め」としての大学を選ぶようにしましょう。
このようなランク付けで第二志望校と第三志望校を決めることにより、日々の勉強へのモチベーションを保ち、かつ浪人する確率を低くできます。
5.私立大学の場合はその大学の特徴から自分に合った大学を選ぶ
私立医学部の受検は、超激戦と言っても過言ではありません。
その理由は私立医学部の倍率の高さにあります。
この倍率の高さは私立医学部の入試日程が大学により異なるため、一人の人が複数の私立医学部を受験するケースが多く、結果として倍率が高くなるのです。
とはいえ、一つの私立医学部を取ってみても受験する人数は国立医学部とは比べ物にならないほど多くなります。
そのため、一問の回答ミスや1点の差が合否に大きな影響を持つようになります。
1点でも高い得点を取るためには、自分の学力や得意分野を活かせる入試方法を実施している私立医学部を選ぶことが重要。私立医学部は、大学によって入試の内容や出題傾向が大きく異なるため、これらの内容をよく調べておくことも大切です。
自分の得意科目で得点を上げることができ、苦手な科目を避けることができる入試方法を採用している大学を選ぶようにしましょう。
しかし、私立大学には学費が非常に高額であるといった、もう一つの大きなハードルがあります。
六年間私立医学部に通う場合、最低でも2,000万円、高額な場合は4,000万円以上の授業料が必要です。
医学部の勉強は非常にハードであるため、6年間勉強だけに集中する必要があります。
最低でも6年間、このような高額の授業料を賄う経済力があるかどうかも、私立医学部を選ぶ際に考えておかなければならない問題です。
この授業料は大学によって異なるため、自分や親の経済力も私立医学部を選ぶ際の重要な要素となってきます。
6.志望校に医局がある場合はそこに一生縛られる?
「医局」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
この「医局」という言葉には明確な定義はなく、一般的に大学とその附属病院における臨床、研究、教育、人事を担う講座を示すことが多いようです。
このような「医局」を「大学医局」と言います。この医局は、多くの医師にとってキャリアを積むために非常に大きな存在であるといえます。
医局に所属するメリットとしては、医学博士号を得ることができるという点です。
平成28年度の初期研修医への調査によると、約4割の医師が医学博士を希望しているというデータがあります。
また、専門医などの資格取得、基礎研究や留学の機会を多く得ることができる、人的交流により将来に役立つ人脈の獲得などのメリットもあります。
その反面、医局人事による希望に反する異動、通常の診療業務に加えて研究や論文作成などによるオーバーワーク、大学病院の給与の低さといったデメリットがあります。
医局にはこのような特徴がありますが、必ずしも医局に入局する必要はありません。
2004年に施行された新研修医療制度により、医局に入ることなく市中病院で研修を行うことも可能になりました。
そのため、医局の影響力は低くなっています。
以前は医学部への入学を考える際に、その大学の医局の性質に関しても考える必要がありました。
しかし、今では医局に入らないといった選択肢もあるため、医局は志望校を決める際の重要な要素ではないといえます。
参考:平成28年臨床研修修了者アンケート調査 結果概要
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/970.pdf
まとめ
ここまで、医学部の志望校の決め方の6つのポイントを解説してきました。
ただ偏差値や受験倍率のみで志望校を決めてしまうと、入試に失敗してしまう可能性が高いことがお分かりいただけたと思います。
志望校を決める場合にはまず十分に学力を上げ、各大学の医学部の入試問題の傾向や点数配分などをしっかりとリサーチし、自分の得意分野を活かして1点でも多く得点を得ることができる大学の医学部を志望校とすることが重要です。
また志望校を決める際には、自分の学力のレベルを客観的に把握し、自分が挑戦した場合に合格できる可能性が高い医学部を選ぶ必要があります。
第二志望と第三志望の医学部の決定方法は異なり、同じようなレベルの医学部を選んでも、入試に失敗する可能性があることも覚えておくようにしましょう。