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医学部で地方の大学に行くメリット・デメリット6選

近年の文系受験熱が高まるにつれて、医学部受験の人気度はだんだんと下がってきていると考えられがちですが、実は現状医学部受験の難易度は高止まりしています。

直近では、新型コロナウイルス蔓延による、経済状況の悪化とそれに伴う企業経営の難航が目立ちます。その中にあってやはり医学部の安定さは不落であり、こぞって医学部を目指すような受験生も少なくありません。

そこで最近増えているのが、地方の医学部を目指すという選択肢。国公立私立問わず、地方の医学部は難易度が比較的緩く、入りやすいことが挙げられるでしょう。

この記事では地方の医学部に進学するメリット、デメリット、そしてどうやって地方の医学部を攻略するのかということをお伝えしていきます。

1.医学部で地方に行くメリット

まずは、医学部で地方に行くメリットを3つご紹介していきます。

それが以下の3つです。

  1. 地域密着型の医療に貢献できる
  2. 広々とした環境でゆったりと勉強に励める
  3. 地域枠により難易度を下げて医学部受験ができる

それぞれ簡単に説明しますね。

(1)地域密着型の医療に貢献できる

地方の大学で学ぶということは、必然的にその地方の医療に貢献する機会が増えるということになります。

例えば、病院実習などで過疎地の医院に赴いて実習をする機会もあるでしょうし、大学病院であっても地域の医療に貢献している、という自覚を持ちながら医療者としての素養を高めることができます。

これは、都市部の医学部ではなかなか考えられないことです。なぜなら、周辺にもたくさんの医療施設があり、医療サービス自体が飽和していることが多いため、なかなか地域に密着した医療を提供しているという考えに至ることができないからです。

対して、地方の医学部であれば周囲には大学関連の医療施設しかなく、その地域の医療の最後の砦がその大学であるということが十分に考えられます。

これはある意味地方の医学部に進学しなければ味わえない、ある種の特権と言っても良いでしょう。

実際、地域医療に興味があり、将来的には地域密着型の医療に携わりたいという人は、多くが地方の医学部に進学しています。

(2)広々とした環境でゆったりと勉強に励める

次に挙げられるのが、「ゆったりとした環境」で学べるということです。

これは決して、地方の環境が緩すぎるというわけではなく、都市部の医学部のように周辺に誘惑が少ないがために、勉強に集中できるという意味です。

例えばですが、大阪の医学部を例にとってみると、大阪市立大学を始めとした都心立地の大学では周辺に繁華街があり、どうしても勉強に気が向きにくいという環境になっています。

これはある意味、都市部の大学の宿命と言ってもよく、周辺環境でやる気が変わってしまうという方には、都市部の医学部はあまり向いていないかもしれません。

対して、地方の大学に進学すれば、大学周辺に存在するのは必要最低限の生活必需施設と、大学の学習設備のみ。

大学時代を思いっきり遊びたいという人には物足りないかもしれませんが、しっかりと医学を学び、運動にも打ち込んで、友人も多く作りたいという人であれば誰でもなじむことができる環境でしょう。

特に、地方の医学部の図書館や学習施設は敷地が広く、ゆったりとした環境で勉学に励むことができるのは間違いありません。

(3)地域枠により難易度を下げて医学部受験ができる

最後に、ある意味医学部受験の抜け道と言ってしまってもいいかもしれませんが、地方の大学にはたいてい「地域枠」というものが設けられています。

この枠は、当該の大学に高い確率(と言っても試験はありますが)で入学できる代わりに、「将来特定の地域で労働することを確約する」というものになります。

これは、近年高止まりの傾向を見せる医学部受験において、かなりありがたい制度であり、将来的に是非とも地域医療に貢献したいという方には思ってもみない好機となることでしょう。

もしも、地域医療に興味があり、医学もみっちりと勉強をしたいという場合は、地方の医学部に進学することを強くお勧めいたします。

2.医学部で地方に行くデメリット

では、医学部で地方に行くデメリットとは何でしょうか?

そのデメリットというのが以下。

  1. 将来的な就職の難易度が高まる
  2. 学生時代に遊ぶ場所が少なくなる
  3. 最先端の研究に触れる機会が少なくなる

それぞれ簡潔に説明していきますね。

(1)将来的な就職の難易度が高まる

地方の医学部に進学することで、一番怖いのが将来的な就職の幅が狭まるということ。

最近ではインターネットの発達により、場所を問わず就職活動には支障がないというように考えられるようになってきました。

しかしながら、依然として医療業界での「対面」信仰は厚く、実際に顔を合わせないと雇わないという病院も数多くあります。

その中にあって、進学してみたはいいが将来的には都市部の病院で働きたいと思ってしまった場合、就職活動が物理的に難しくなってしまう場合が多いです。

例えば、東京圏であれば、たいていの就職面接が東京都内で行われることが多いです。そのため、わざわざ飛行機や新幹線を使って、面接まで行かなければいけない場合が多いです。

また、ツテやコネを頼って就職するという選択肢も狭くなってしまうため、就職難易度は相対的に高まってしまうと言えるでしょう。

無論、本人の努力次第でどこにでも就職できるというのが医師という職の魅力でもあります。

しかし、将来的なリスクを抑えたいという場合は地方の医学部に進学することはデメリットになるかもしれません。

(2)学生時代に遊ぶ場所が少なくなる

メリットのところでも述べた通り、地方の医学部は勉強をしやすい、ゆったりとした環境となっています。

逆に言えば、これは大学生が憧れを抱くような「遊び」ができる環境が少ないということでもあり、大学時代に遊びつくしたいという場合には地方の医学部進学は向かないかもしれません。

(3)最先端の研究に触れる機会が少なくなる

最後のデメリットとして、「最先端の研究に触れられる」機会が少なくなる可能性があります。

もちろん、地方の医学部であっても、琉球大学や長崎大学のように感染症が強い大学もあれば、福井大学のように救急医療が全国的に有名な大学もあります。

概して、国家からの研究予算配分は少ないため、あまり規模の大きな研究を行うことができません。

これが都市部、たとえば京都大学であればiPS細胞の研究に国から多大な予算が拠出されていますし、最先端の医療に直接触れる機会が必然的に多くなります。

もしも医学部に進学して最先端の研究に励みたい、最新の研究結果を読み漁りたいという場合は地方の医学部はあまり向いていないかもしれません。

3.本気で地方の大学を受験する際にすべきこと

さて、ここまで地方の医学部に進学するメリット、デメリットを解説してきましたがいかがでしたでしょうか?

ここまで挙げたようなメリット、デメリットをお読みになって一層地方の医学部に進学したいと思われた方も、思われなかった方もおられると思います。

ここからは本気で地方の医学部を受験しようと思った場合に、受験生の皆さんがすべきことを解説していきます。

(1)志望大学の試験傾向だけでなく、就職事情を徹底的に調べるべし

医学部を受験しようと考えた際に、受験生が陥りがちなのが「受かれば医師にはなれるのだからどこでもいいや」という考え方です。

実はこの考え方はかなり危ない考え方で、将来的に進路を決めるときにかなり難渋する可能性があります。

ひょっとすると、その大学からの出身者を一切取らない病院への就職を希望したいと思ってしまう場合もあるかもしれません。なにより各地域での就職の強さはやはりその地域の権威ある大学が強いことは言うまでもありません。

無論、進学した先の大学の強みに、あなた自身が就職を希望する病院が存在すればそれでいいかもしれません。

しかし、やはり将来の事を考えると、その大学の就職事情を調べておくというのは必須事項であると言えるでしょう。

もちろん、受験を検討するからにはその大学の試験傾向もシッカリと調査する方がベターです。

(2)志望大学の強みを把握すべし

次に気を付けておきたいのが、受験する大学の強みを把握するということ。

例えば先ほど述べた通り、最新の研究が行われていなくとも、各大学ともに強い分野というのは存在します。例えば、その道の権威と呼ばれる教員がいるであるとか、非常に有名な治療を行うスタッフがいるなどでしょう。

こういった各大学の強みは、長い間受け継がれていくものである可能性が高く、将来的にその分野を深掘りしていきたいと言った場合はかなりの強みになることが多いです。

逆に、志望大学の強みを把握していないと、進学してから何故自分はこの大学に進学してしまったのだろうかと、後悔してしまうこともあります。しっかりと志望先の大学の強みを把握しておきましょう。

(3)志望大学の周辺環境を調査すべし

志望大学の周辺環境を調査するというのは、その大学に入学する上においてかなり重要な事項になります。

例えば、地方の大学に都市部から進学するのであれば多くの場合、1人暮らしをすることになります。

果たしてその大学の周辺環境で自分は満足できるのか、そしてその環境で勉強することに迷いや後悔する可能性はないかなどを総合的に考えておく必要があります。

実際に、そういった大学周辺の環境を考慮せずに、その大学に入ってしまったがために、結局退学し1年間の時間をロスしてしまった人なども一定数おられます。

自分の希望に合った環境で学べるように、進学希望先の大学の周辺環境はしっかりと調べておくようにしましょう。

4.地方の大学の情報を仕入れるときに注意すべきこと

最後に、地方の大学の情報を仕入れるときに注意すべきことを2点ほどお話しておきます。

(1)大手予備校に相談しても意味がない

いざ、地方の医学部の情報を仕入れようと思ったときに、大手予備校を頼っても意味がありません。

その理由は、大手予備校は「都市部の大学」に特化しているためです。

例えば、大手予備校である河合塾は名古屋圏を中心に、関西圏、関東圏のごく限定的な情報しか持っていないことが多いです。

そういった限定的な情報では、皆さんが欲しいような情報を得ることはできませんし、何より非効率的です。

したがって、地方の医学部の情報を仕入れる際には、大手予備校を頼るということはやめておきましょう。

(2)その地方に密着した予備校、もしくは医学部専門予備校に相談すべし

そして、地方の医学部の情報を収集したい場合には、その地方に特化した予備校、特に医学部専門予備校に情報を聞くようにした方が、効率が良いです。

例えば、北九州予備校等は北九州市を中心に九州圏の大学情報をかなり細かく持っています。各種医学部専門予備校は校舎を構えていなくても、卒業生との密接な関係から、地方の医学部に関するかなり詳細な情報を収集している可能性が高いです。

したがって、地方の医学部の情報を集める際には、その地域に特化した予備校、特に医学部専門予備校を頼ることをお勧めいたします。

まとめ

地方の医学部に進学するという選択肢は、医学部受験の難易度が高止まりである昨今、かなり意義のある選択肢の一つです。

ぜひ一度検討してみて、将来的な医師としてのキャリアを考えてみるのもよいかもしれません。

それでは、この記事を読まれている皆さんが、全員無事に希望の医学部に合格されることをお祈りしております。

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