志望動機で不合格にならないために

志望動機は時に成績と同じレベルで重要!志望動機で不合格にならないために

医学部を受験する場合に、時に成績と同じぐらい重要視されるのが、「志望動機」です。

医師になるためには、長い間、非常に多くの知識を身につける必要があり、またその知識を自らの良心に従って駆使する必要があります。

そのために求められるのが、「高い志」です。

志望動機は医学部受験を行う際には、形式を変えて何度が問われることがありますが、受験生自身が常に一貫した高い志を持っているということをアピールする必要があります。

ここでは、医学部受験時に非常に重要視される医学部の志望動機について詳しく解説していきます。

1.なぜ医学部の入試に志望動機が重要視されるのか

医学部入学を目指す受験生の多くは、「医師になり人々の健康や生命を守り、救いたいと思うことから医師を志望している」という志望動機を持っているでしょう。

しかし、人々の健康や生命を守り救うことは、医師でなくてもできます。

例えば、他の医療関係の職業に就いてもこの目標は達成できますし、行政や政治に関わる仕事に就くことでも人々を守ることは可能です。

そのため、なぜ他の職業ではなく医師を志望しているのかといった具体的な志望理由が必要になります。

このように、独自かつ具体的な志望動機を自分の中にしっかりと持つことで、他の受験生に差をつけることが医学部合格への近道です。

また、医師は人々の命を預かる職業であるため、その人となりも重要視されます。

単純に収入が良いから、ステイタスがあるからなどといった道徳的に好ましくない志望動機しか持っていないようでは、人格に問題ありとみなされて不合格になってしまう可能性が非常に高くなります。

このように医学部の志望動機は、将来志望する職業がなぜ医師でなくてはならないかということと、その人の人間性を確かめるという2つの役割を果たしているのです。

そのため、医学部入試では志望動機に大きなウエイトが置かれています。

2.志望動機が必要となるシーンとは

志望動機は大きく分けて2つのシーンで必要になります。

志望する医学部によっては2つのシーンすべてで志望動機が必要なわけではありませんが、いつ何時志望動機を聞かれても慌てることが無いように、いつも心に留めておくようにしましょう。

(1)志望理由書または志願所信書提出時

毎年11月ごろになると、医学部でも推薦入試の出願が始まります。

そのため、この推薦入試で医学部を目指す受験生は、「志望理由書」または「志願所信書」の作成が必要です。

この志願理由書などの文書は、医学部によっては推薦入試だけではなく一般入試でも必要になることがあります。

志願理由書および志願所信書などの文書には、当然その医学部を志願する理由を記入するのですが、その中には志望動機も含まれます。

これらの文書は、受験対策の中でも特に小論文を専門としている学校や予備校の先生などに添削してもらうとよいでしょう。

なぜなら、一般的な受験生が書いたこれらの文書の内容は、論点がずれていたり、不明確な記述が多かったりすることが少なくないためです。

例えば、身内の死に遭遇して医師を志すようになったという志望理由は非常に多いのですが、これだけでは医師を志望したきっかけに過ぎず、志望理由としてはかなり弱いと考えられます。

そこで、この身内の死という「きっかけ」に、何を感じ、考え、将来医師になるというビジョンを持つようになったかというところまで、深く掘り下げる必要が出てきます。

そのため、志望理由書および志願所信書などの文書は推敲に推敲を重ね、さらに専門の先生に目を通してもらい、最後に清書するという形をとるようにしましょう。

(2)面接時

面接では、必ず志望動機を質問されます。

志望動機は面接時の質問の中でも、定番中の定番であると考えておきましょう。

志望理由書などで一度文章にまとめた経験がある場合には、ある程度頭の中で志望動機に関する事柄が整理されていると思います。しかし、そうでない場合にはすらすらと志望動機を答えることが難しくなってしまうことも考えられます。

志望動機の模範的な内容は、志望理由書と同様に医師になろうと思ったきっかけから、将来医師を志望しようと具体的なビジョンを持つまでの流れを、具体的に述べることです。

そのためにも、面接対策の一環として一度志望動機を文章に書き起こし、面接担当の先生に読んでもらい、必要であれば修正してもらうことをおすすめします。

もちろん、模擬面接でよどみなく志望動機を答えることができるように練習しておくことも重要です。

3.志望動機は合否を左右する?

志望動機は、医学部の合否を大きく左右します。

ここまで解説してきたように、ほとんどの受験生は「人々の健康や生命を守る」ために医師を志していると答える人がほとんどです。

しかし、なぜ医師でなくてはいけないのかという掘り下げた質問にきちんと答えることができないと、学科試験の成績が良くても不合格になる可能性が出てきます。

この、「なぜ医師でなければいけないのか」といった質問をされた場合には、質問の意図をしっかりと汲み取って解答する必要が出てきます。

他の職業でも人々の健康や生命を守ることはできますが、それらの他の職業と医師という職業の生命や安全へのアプローチの違いに触れ、医師として人々に関わっていきたいという具体的かつ説得力のある回答が重要になってきます。

また、求められるのはあくまで自分が医師になりたいという明確な意思を持っているという能動的な志望動機であり、「医師の家系だから」といった理由や、「成績が良かったので医師になりたいと思った」などの受動的な理由では、合格は難しいと考えておきましょう。

4.このような志望動機は絶対にNG!

志望動機の基本は、あくまで受験生の「能動的」なものが必要となります。

そのため、親や高校の先生に勧められたからなどの「受動的」な理由では合格することは非常に難しくなるでしょう。

また収入やステイタスに関する事柄に魅力を感じている、という回答は倫理的に好ましくないために絶対に答えてはいけません。

5.志望動機を伝えるにあたって重要なポイントとは

志望動機を伝えるにあたっては、重要なポイントが2つあります。

ここでは、その2つのポイントについて解説していきます。

(1)将来医師になりたいと思った理由

将来医師になりたいと思った理由に関しては、前章でも記述したように、具体的かつ能動的な志望理由が求められます。

また、医師になりたいという現在の思いや、医師になりたいという強い熱意を持っていることをアピールすることが重要です。

他にも、将来どのような医師になりたいかという具体的な理想像を答えることも有効です。

この場合には、理想像を持つようになった具体的なエピソードを添えて回答すると良いでしょう。また、そのためにどのような努力をするべきなのかといったことにも具体的に触れるようにしましょう。

(2)その医学部を志望した理由

医学を学ぶにあたって、なぜその医学部を志望したのかという点も必ず質問されます。

「自分が興味のある分野に強い医学部であるから」や、「実習の内容が自分の求めているものであるから」といったように、その大学に自分が魅力を感じた部分をアピールするようにしましょう。

そのためには、オープンキャンパスやパンフレット、できればその医学部の学生に直接話を聞くなどして、その医学部の情報を集めておく必要があります。

そのようにして、その医学部にしかない特色を見つけ、その部分に大きな魅力を感じたということを前面に押し出して回答するようにしましょう。

6.志望動機から医学部側が判断するのは受験生の人間性

医師には、強い倫理観が求められます。

この倫理観がないと、医師という職業で通用できるかどうかといったこと以前に、人間として失格であると言わざるを得ません。

そのため、まず医学部側は受験生がしっかりとした倫理観を持っているかといったことを判断します。前述したように収入やステイタスに魅かれて医師になろうとする受験生は、倫理的に問題ありとして不合格になってしまうのです。

また、倫理観以外に医師に必要なことはコミュニケーション能力と協調性です。

現在の医療現場では、医師・看護師・薬剤師・各技師や各療法士などを加えたチームによる医療が重要視されます。

そのチームの中でも医師はいわば最高責任者であり、大きな責任を負う立場です。

チームで医療を行うためには、コミュニケーション能力と協調性は必須なものとなり、これに欠ける受験生は、不合格になる確率が高くなります。

そのため、医学部の面接試験時には、面接官の質問の意図を瞬時に汲み取り、適切な回答を行うことで、受験生自身のコミュニケーション能力と協調性をアピールすることが重要です。

このように、志望動機から医学部側が判断する点は、受験生の倫理観とコミュニケーション能力・協調性です。

自分が持つこれらの要素を、十分に医学部側に理解してもらうためにも、志望動機を大学側に伝えるシーンにおいては、文書であれば推敲を繰り返し、面接であれば模擬面接を行い適切な回答ができるようにしっかりと準備しておきましょう。

まとめ

ここまで、医学部の志望動機の重要性について詳しく解説してきました。

志望動機の内容いかんでは、それだけで不合格になってしまうといったこともあることがお分かりいただけたと思います。

志望動機は人それぞれですが、受験生自身が持つ志望動機が大学側の求める志望動機と合致しているかどうか今一度確認してみましょう。

そして、その志望動機を正しく正確に、かつ良い意味で個性的な物にするために、自分がなぜ医学部を志望するかということをもう一度掘り下げて考えてみることも重要です。

また、志望動機で不合格にならないためにも、正しい倫理観や高いコミュニケーション能力・協調性を身につけておくようにしましょう。

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